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〈メディア激変70〉逆境に立ち向かう新聞―4 経済情報めぐる闘い

2010年7月9日17時27分

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写真ウォールストリート・ジャーナル日本版サイトの開設イベントでの鏡開き=昨年12月15日、東京都目黒区

 新聞の有料ニュースサイトで採算面から軌道に乗っているのは、米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)と英フィナンシャル・タイムズだけと言われる。いずれも有力経済紙だ。株式取引や投資といった情報の早さが損得に直結する経済情報は、速報性を強みとするネットでの需要が大きい。

 そんな中、日本で今年、経済紙の電子版の闘いが始まっている。電子新聞の構想を表明していた日本経済新聞に先んじて、昨年12月15日、WSJジャパンが日本版のサイトを開設。英語版の記事や論評を毎日30本ほど翻訳するだけでなく、日本版独自の記事も掲載している。グローバルな経済情報や独自の分析を売り物に、月額1980円で今年2月から課金を始めた。

 インターネット総合金融・SBIホールディングスの北尾吉孝・最高経営責任者(CEO)(59)が、WSJジャパンの代表取締役をつとめる。WSJ日本版の購読者数は公表されていないが、「想定していた規模で、目標とする3年目の黒字に向け進んでいる」。トヨタ自動車のリコール問題が米国でどう見られているか、といった国際ニュースへの関心が高いという。

 読者像は役員が31%、証券・金融機関に勤めているのが23%、海外ニュースに興味がある人が57%、平均年齢は42.5歳と、ほぼ予想通りだった。ただ、男性が92%、年収は1155万円とやや偏っていた。今月20日から、中小企業を含めた法人会員の課金を個人会員より安くして募集するほか、学生割引も始める。

 3月23日に創刊された日経電子版の感想を、北尾氏に聞いた。「電子新聞のマーケットを広げる後押しにはなっている。ただ、電子版に時々刻々と変わる内容がどれほどあるのか。紙と電子版の両方を取る必要性をあまり感じない。グローバル性があり情報の質が異なるWSJとは位置づけが違う」

 一方、有料会員が6万人を突破した翌日の4月18日、日本経済新聞が公表した電子版の読者構成は、40代と30代で過半数を占め、50代が続く。7割強が企業や官公庁に勤め、役員が24%、部長が15%だった。

 WSJ日本版について、日経の野村裕知デジタル編成局長(53)は「意識しておらず、あまり見ない」と言う。また、日経のある幹部は「WSJ日本版の購読者は、日経電子版の有料会員よりもかなり少ないと見ている。WSJの情報を求める人は、日本語に翻訳されなくても英語で読むのでは」。スタートでは先行を許したが、読者数で引き離した余裕を感じさせる口ぶりだった。(編集委員・川本裕司)

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