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〈メディア激変72〉逆境に立ち向かう新聞―6 住田良能・産経社長が語る

2010年7月16日18時23分

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写真インタビューに答える産経新聞社の住田良能社長=古川透撮影

 9年前、パソコン向けの電子新聞「ニュースビュウ」を始めるとき、いずれ大化けする分野だから手をつけるべきだ、と賛成したんです。インターネットの世界にはド素人ですが、勘と度胸なんだな。基礎力を蓄えておこうと、これまで数億円を投資し、可能性を探る作業をしてきました。次の電子新聞「ネットビュー」は1万部をようやく超えたくらい。10万から20万は行くと思っていたけどね。

 ただ、新聞ビジネスで育った活字人間だけでは出来ない部分が多いから、外部の知恵と連携するのがいいだろうと。06年に情報サイト「iza」を手がけたチームラボの猪子寿之君は、ある種の奇人、変人、天才だ。好き勝手なことを言うけれど、「ネットの論調は産経に近いですよ」と本質を突くと思わせる指摘もあったので任せることにした。発想がシャープで行動が速いから、成功したんじゃないでしょうか。

 昨年の政権交代の際、ツイッターの書き込みで記者が問題を起こしたりしているけれど、たまにはしゃあないだろうと。一定の良識の幅をはみ出したときは厳しく注意しますけどね。

 07年10月にマイクロソフトと共同のサイト「MSN産経ニュース」を発足させる際、「ウェブファースト」を宣言し、新聞の掲載を待たずにスクープでもネットに随時出していく方針を打ち出しました。ただ、今年4月、作家の井上ひさしさんの死去をスクープしたとき、ネットには出さなかった。紙面へのこだわりを捨てきれないので、例外もあるんです。

 4月初めにアメリカで発売された直後にiPadを取り寄せました。携帯電話、スマートフォン、iPadは連続的な変化と思っていましたが、映像や活字の分野に与える破壊力は想像以上です。画面が大きくなることで、こんなに違うとは思わなかった。すさまじいデジタル革命が進んでいます。広告を含めて有料に結びつけていく全体の方向は定まっています。今も様々なメディアに配信しています。

 新聞は捨てたものではない。iPhoneへは無料配信ですが、驚くほどのダウンロードがある。新聞はすべての情報力の基礎になる。紙の新聞単体は赤字になっても、ネットや他の事業展開で支える道を断固探します。紙とネットは両輪。新聞とネットが複合した影響力が問われるようになり、紙の部数が社会的影響力に比例しなくなる可能性があります。それが我々の望みです。(編集委員・川本裕司)

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