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〈メディア激変73〉逆境に立ち向かう新聞―7 動く毎日、静かな読売

2010年7月16日18時25分

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写真iPad向けのデジタル雑誌「photoJ.」の第1号の表紙(上)とコンテンツの写真(下)=毎日新聞社提供

 昨年10月に電子書籍端末のキンドルに英文ニュースを提供、今年5月末にiPad向けのデジタル雑誌「photoJ.(フォトジェイドット)」を創刊、6月にはiPadに夕刊紙面などを配信――毎日新聞社は新たに登場した情報端末に対し、矢継ぎ早の積極策を取っている。

 毎日新聞の電子戦略を担う増田耕一デジタルメディア局長(55)は「紙の新聞は信頼の置ける媒体だが、長期的にみて広告、販売面では楽観できないので、次の手を打っている」と説明する。具体策は明快だ。「アンテナを張り巡らし、新しい端末はすべて実験していく。何が当たるかわからないので、早く体験しノウハウを蓄積する。そして見切るときはすぐ見切る」

 「photoJ.」を出すのが決まったのは4月半ば。米国で販売されたiPadを入手し、色合いの美しさを表現するには写真が一番と、ニュースグラフ誌を想定して発行を即決した。予想の5倍の売れ行きという。また夕刊記事を中心にした「Mainichi iTimes(アイタイムズ)」を有料サービス「ビューン」のコンテンツの一つとして提供する作業も2カ月ですませた。ビューンは、ソフトバンクの子会社が6月に立ち上げたもので、31の新聞・雑誌・動画の配信をしている。

 4月に共同通信社に加盟し、分析や解説に力を入れる紙面に転換した。加盟について、毎日新聞社長室では「ネットや電子媒体への対応、新媒体創設など新たな分野に再配置する人員を生み出す狙いもあった」と言っている。

 電子新聞についてはニーズがわからないうえ一般紙では難しい、と検討していないという。増田局長は語る。「パソコンでの有料課金は難しいと見ているが、iPadやスマートフォンへの配信に期待をかけている。紙に代わりデジタル収入が会社を支えるのは幻想に思えるが、売上高が100億円を超えれば変わってくる」

 対照的に、読売新聞は新情報端末への配信の動きが目立たない。関係者は「販売局の意向を押し切って記事を本格的にネットへ出しにくい状況」と、「紙」重視路線を指摘する。

 最近発表されたのは、会員制サイト「ヨリモ」のコンテンツ「校閲道場」をiPhone向けアプリとして6月から販売したくらい。ただ、NTTドコモのスマートフォンへのニュース配信や、NTT東日本のデジタルフォトフレーム端末に対する投稿サイト「発言小町」の提供をそれぞれ実験し、市場調査を重ねている。

 電子版について、読売新聞東京本社広報部は「あらゆる可能性を排除せずに検討している」と言っている。(編集委員・川本裕司)

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