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〈メディア激変75〉逆境に立ち向かう新聞―9 ニュースを売る

2010年7月16日18時26分

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写真多メディアに向け記事を配信する本社マルチメディアデスク=9日午後11時30分、東京・築地の朝日新聞東京本社

 6日の夜は南から湿った空気が流れ込み、東日本各地の大気は不安定な状態だった。気象庁は集中豪雨、落雷への警戒を呼びかけていた。

 「朝日新聞速報――福島県郡山市で1時間40ミリを超す集中豪雨に見舞われ、車が立ち往生」。午後8時過ぎ、テレビ朝日とその系列7局に音声ニュースが流れた。

 ニュースは東京・築地の朝日新聞本社5階から流された。新聞づくりの中核を担う報道局、編成局があるフロアのほぼ中央に「マルチメディアデスク」が陣取る。24時間態勢でニュースをウェブサイトや携帯などに流すセンターだ。デスク脇にはマイクがあり、新聞記者がつかんだニュース速報が吹き込まれる。

 音声だけではない。国内、海外に散らばり取材する記者が書いた記事を各放送局に設置された専用端末ですべて見られるシステム(ABIS)が4月から動いている。

 これまでは朝日新聞記者が書いた記事は紙の新聞やウェブサイトの「アサヒ・コム」に載せるのが基本だった。ABISは朝日新聞社の枠を越えて、メディア企業に広く配信する機能を高める試みだ。今のところテレビ朝日系列の放送局と日刊スポーツ新聞社というグループ企業への配信だが、将来はグループ外への配信も視野にいれている。すでに内外の複数のメディアから関心が寄せられている。

 日本の全国紙は国内では中規模都市以上や海外の主要都市に取材拠点を持ち、自社の記者が取材し、原稿を書いている。複数の通信社から買った多くのニュースを使う海外の主要紙とは大きく異なる。新聞には紙幅という制限がある。記者が書く記事がすべて載っているわけではなく、埋もれるニュースもある。地方版の記事も他の都道府県ではなかなか読めない。

 新聞社が抱える膨大なニュースに新しい価値を見いだそうとする試みがABISだ。国内外のネットワークに乏しいメディア企業も、朝日新聞が配信するニュースの束を新しいコンテンツづくりの手がかりに使える。

 インターネットの発展の過程でニュースの無料領域は広がった。報道機関のwebサイトは大半が無料だ。Yahoo!などは新聞社などから仕入れたニュースを無料で提供している。

 「無料の世界」でニュースをお金にできないか。朝日新聞とテレビ朝日、KDDIが協力して09年6月から始めたau携帯電話向け有料サービス「EZニュースEX」も新たな挑戦だったが、ニュースを売るだけではなく、「プラットホーム(基盤)」づくりという狙いも込められていた。(編集委員・安井孝之)

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