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〈メディア激変76〉逆境に立ち向かう新聞―10 新しいプラットホームをつくる

2010年7月16日18時27分

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写真電子書籍を配信する新会社を朝日新聞社、凸版印刷、ソニー、KDDIの4社が設立。プラットホームを目指す=5月27日、東京都港区

 au携帯電話向けの有料情報サービス「EZニュースEX」が始まって1年余り。月間利用料250円(消費税別)を払う会員数は85万人を超えた。緊急地震速報の仕組みを使ってテレビにテロップが流れるのと同時にニュースを知らせる「超速報」のほか、朝日新聞のニュースや読み物、テレビ朝日の芸能ニュースや動画を配信している。

 今夏中に100万人の大台に乗せ、当面の目標は200万人。その場合は年間60億円の事業規模となり、一定の料率で朝日新聞に配分される。佐藤吉雄・デジタルビジネス担当(52)は「システムを含めた配信の仕組みそのものを構築し、事業を自分たちで運営する。こうした投資やビジネスモデルにはリスクもあるが、想定通り会員数が伸びれば、単なるニュース提供より相当大きな収益となる」と期待する。

 大手サイトに新聞社や通信社がコンテンツ提供した場合、リスクはないが、価格は高くても年間数千万円程度。ニュースEXではテレビ朝日、KDDIと独自のプラットホーム(基盤)を築いた。失敗すれば赤字となるが、成功すれば会員数に比例して収入が増える。

 新聞社は編集、印刷、広告、販売、配送を集約した自前のプラットホームに記事を載せて収益を上げてきた。ネット時代に入り、ウェブにプラットホームを築いた企業が誕生し、紙の時代の優位性が揺らいだ。ネット時代のプラットホームづくりが新聞社の経営課題となった。

 4月に稼働した朝日新聞の課金システム「Astand(エースタンド)」もプラットホームを目指す。新聞社や出版社にAstandの活用を呼びかけ、講談社や文芸春秋、時事通信社、ダイヤモンド社などが応じた。

 出版社などとの折衝を手がけた洲巻圭介プロデューサー(36)は、出版取次会社から01年に朝日新聞に転職した。書籍流通の一翼を担う取次会社も、アマゾンなどネット書店が台頭し、立場は揺らいだ。次世代のプラットホームを築くにはコンテンツを握る会社が優位になるのではないかと新聞社に移った。

 1日、朝日新聞とソニー、凸版印刷、KDDIが設立した電子書籍配信事業の企画会社が朝日新聞社内で仕事を始めた。ソニーの「リーダー」を始め電子書籍端末や多機能端末に書籍やニュースを配信するオープンなプラットホームを目指す。朝日新聞の秋山耿太郎社長(65)は「紙でもデジタルでも最先端を走って行く」と話す。メディアがどこに向かうか定かでないが、まずは走らなければならない胸突き八丁に差しかかっている。(編集委員・安井孝之)

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