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〈メディア激変80〉逆境に立ち向かう新聞―14 スポーツ紙に押し寄せる波

2010年7月23日17時41分

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写真紙面作りを進めるデイリースポーツの編集局。壁には阪神タイガースの旗が掲げられていた=神戸市中央区東川崎町

 スポーツ紙で電子版の先陣を切ったのはデイリースポーツだった。今年2月、最終版の紙面をそのままパソコンなどで読めるサービスを月額1890円で始めた。デイリースポーツはプロ野球・阪神の手厚い報道が看板だ。1千万人ともいわれるタイガースファンに狙いを定めた。紙が発行されていない北海道、東北、九州などをはじめ、海外での売れ行きにも期待をかけた。

 日本新聞協会の調べでは、スポーツ紙全体の発行部数のピークは96年の658万部。09年には469万部と29%も落ち込んだ。一般紙は同じ期間の部数減が3%にとどまっている。

 1面を連日飾っていたプロ野球の人気低下、読者の高齢化、ネットやケータイの普及。スポーツ紙の退潮の原因は様々に指摘されている。デイリースポーツでもここ数年、輸送費などがかかるため、東北地方や新潟県から撤退した。苦境を打ち破る奥の手が電子版だった。しかし、販売所からは「紙の売り上げに影響を与えかねない電子版は困る」と反発があった。このため、紙面では電子版のPRを控えている。

 電子版の部数は現在、400部足らず。3月から課金したあとは伸び悩んでいる。販売の空白地域からの申し込みが半数ほど。iPhoneへの配信を、1部115円で5月からは国内でも始めた。

 デイリースポーツを発行する神戸新聞社の清水信一常務(64)は「ケータイ中心の若者をはじめ読者のいろんなニーズに応えるため、多メディア発信は必要だ。人件費を除けば、経費があまりかからない電子版は300部でも黒字となる」と話す。心理的な抵抗感をぬぐえない販売所と発行本社がともに利点のあるモデルを検討している。

 在京のスポーツ紙も追随した。日刊スポーツとスポーツ報知は、ともに6月から海外向けの電子版を立ち上げた。価格はどちらも月額2400円。パソコンやiPhoneで閲覧できる。海外に限定したのは、部数の半数以上を占める宅配を担う販売所に配慮したためという。スポーツニッポンも、iPad向けに今月6日から新聞や雑誌などの配信を再開した有料サービス「ビューン」に記事の提供を始めた。

 西日本スポーツも今月14日から電子版「西スポ PICK UP」を始めた。売り物のソフトバンクホークスのファンを想定している。紙が発行されている九州を除く地域のパソコン向けで月額1575円。発行元の西日本新聞社(本社・福岡市)は「基軸の紙とすみ分けるため」と説明する。(編集委員・川本裕司)

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