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〈メディア激変77〉逆境に立ち向かう新聞―11 相次ぐ地方紙の電子版

2010年7月23日17時39分

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写真熊本日日新聞が試作した電子新聞のテスト版

 2008年10月、地方紙で最も早く電子版に乗り出したのは東奥(とうおう)日報(本社・青森市)だった。塩越(しおこし)隆雄社長(65)が主導してきた。

 編集局長だった99年、他社より遅れていた新聞のウェブ版を開設。00年にはネット号外や携帯サイト向けのサービスを始めた。「新聞界ではテレビが出てきても経営がびくともしなかったことから、インターネットも大したことはないと甘くみる空気があったが、ネットは何か違うと感じていた」という。編集局にメディア情報部(現デジタル編集部)をつくり、中途入社の担当者らによって自前の技術を磨いてきた。

 紙面イメージをパソコンで閲覧できる電子版は、青森県外に限定し月額2100円。05年に社長に就任したときから、「我々は地域のニュースでしか食べていけない」と腹をくくった。ただ、紙だけにこだわるわけではない。09年11月からはウェブ上でニュース映像を配信する動画サイト「東奥NETテレビ」を始めた。03年から配置しはじめた動画撮影用カメラを、いまでは取材記者全員が使っている。

 塩越社長は「端末の変化に応じて情報をどう伝えるかだ。iPadもぜひ利用したい」。

 東奥日報、山形新聞に続き、地方紙として3番目の電子新聞を始めた北日本新聞(本社・富山市)は、県外だけでなく、県内でも紙の購読者のうち希望した人には無料で配信している。県外では月間2100円と設定した電子版「webun(ウェブン)」は500人の契約をめざす。会員制とした県内の配信先は1万9千人となった。

 北日本新聞では年間のウェブ広告収入が三、四百万円と、40億〜50億円ある紙の広告収入の比ではなかったという。紙では朝刊25万部に対し3万部しかない夕刊が赤字。昨年12月に夕刊をやめ、今年1月から電子版を創刊した。

 担当した棚田(たなだ)淳一営業局長(54)は「無料で閲覧できるウェブの広告モデルは成立しないと判断した。ウェブの有料化で失う広告料はスズメの涙だったから思い切れた」と話した。

 北海道十勝地方の夕刊紙・十勝毎日新聞も今月1日からWEB版(月額2500円)を始めた。熊本日日新聞では昨年1月、新聞製作システムの更新に合わせ電子新聞のテスト版を作った。いつでも創刊できる段階にある。県内では紙の購読者に限定、電子新聞料金を上乗せする方式を検討中だ。日本経済新聞の紙と電子版の併読を参考に、紙を守りつつ電子新聞による増収を模索している。(編集委員・川本裕司)

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