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〈メディア激変81〉逆境に立ち向かう新聞―15 電子版開発の仕掛け人

2010年7月30日17時42分

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写真電子版のソフト作成に取り組む四国システム開発の社員=徳島市万代町

 日刊スポーツなどの海外向け電子版を技術面から支えたのは、北京大が創設した中国資本のソフト会社・方正だった。96年に日本に進出、07年の新聞製作技術展に中国の電子新聞システムを出品した。昨年には新聞組み版に実績のある日本IBMの協力会社を買収。作業をする中国の人件費の安さを強みに攻勢を強め、日本食糧新聞など業界紙の電子版も手がけている。

 共同通信の電子新聞構想は、方正のコストの安さが売り物の一つだ。ただ、「中国の批判記事に検閲が現地で入らないか」と懸念が出された。方正営業本部の山内智晶グループ長(40)は「日本法人として受けた仕事について日本の法律を破るようなことはしない」と言う。

 評価する声もある。日刊スポーツは2月、新聞組み版を方正に切り替えた。山中俊幸・編集制作センター副センター長(46)は「中国人技術者への説明には苦労したが、日本の会社より安いうえ優秀」と話した。

 デイリースポーツの国内向け電子版を開発したのは、徳島市に本社がある中堅ソフトウエア会社の四国システム開発だった。日本IBMと徳島新聞社を中心に設立され、神戸新聞社などの統合データベースを手がけた。電子新聞の製作システムの準備も進めてきた。

 デイリースポーツ電子版の話があったのは昨年7月ごろ。電子版を自動的に作成するシステムを完成させたのは5カ月後だった。

 紙面イメージの電子版なら、技術の進展と競争激化によって早く安く実現できるようになった。四国システム開発の羽田(はだ)寛メディア事業部長(52)は「いまなら話があってから1週間で出来る。電子版の月額基本料金は30万円で、コンテンツを用意さえしてもらえればいい。パソコン用ならば、月200部の契約があれば採算が合う設計だ」と話す。地域紙へ売り込みの営業にも駆け回っている。

 日本経済新聞の電子版は、富士通、NEC、野村総合研究所などの協力を得たが、電子版ソフト開発にはベンチャー企業の参入が相次ぎ競争は激しい。産経新聞は、伊藤正裕社長(26)が起業したヤッパ、西日本スポーツはアルメニア人のアラム・サルキシャン氏(34)らが代表取締役を務めるウェイズジャパンが担当した。昨年、産経デジタルから転身したニュースペーパー・ナビの山口泰博代表取締役(48)は「同じ時期に同じ電子版配信を考える人がいるとは」と苦笑した。(編集委員・川本裕司)

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