現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. メディア激変
  5. 記事

〈メディア激変82〉TV局の選択―1 有料路線のフジテレビ

2010年7月30日17時42分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真フジテレビオンデマンドの「ワンコイン祭」第2弾としてドラマ「古畑任三郎」シリーズが4月から配信された=フジテレビ提供

 フジテレビの日枝久会長(72)はメディアの経営者として、次々と登場する情報端末に努めて接しようと心がける。「時代の変化に取り残されないようにするため、新しいものには出来るだけさわろうとしている」

 米国でiPadが発売された4月3日。その翌日にニューヨークにいる社員にいち早く送らせた。「画面がきれいだ。持ち歩いて株価情報をチェックしている」。電子書籍用端末のキンドルでニューヨーク・タイムズを読み、音楽配信サービスのiTunesを使って楽曲を買う。愛用する携帯電話はiPhoneだ。

 08年秋のリーマン・ショックで広告出稿が急減し、広告収入に傾斜するテレビ局は大きな影響を受け、映画など放送外収入に力を入れた。日枝会長は「収益構造は複数あった方がいい。番組でいえば広告と課金モデル」と語る。課金方式の象徴が、視聴者が見たいと要望したときに番組を見られる有料の「オンデマンド」だ。

 動画配信サイト「フジテレビオンデマンド」で一部の人気番組の見逃し視聴を始めたのは08年11月。翌12月にはNHKが見逃し番組と過去の名番組の本格的なサービスに踏み切り、他の民放も参入した。しかし、ただで番組を見られる慣習は根強く、売り上げは伸び悩んだ。

 起爆剤となったのが、昨年12月からの「ドラマレジェンド ワンコイン祭」だった。「東京ラブストーリー」や「BOSS」などヒットした20作品を1話105円で見られるようにした。1話315円から値下げした。仕掛けたのはデジタルコンテンツ局(現クリエイティブ事業局)の大多亮局長(51)。トレンディードラマのプロデューサーとして活躍、昨年6月にネットの世界へ転じた。

 ネットといえばグーグルの検索とメールを利用するくらいだったが、「テレビメディアの未来を見据える仕事」と腹をくくった。ネットの利用時間が増えれば、テレビ視聴が減ると懸念されてきた。「共食い論にとらわれていては、永遠に何もできない。相乗効果をめざす。この1、2年が重要で、今年度は黒字化したい」

 各局が乗り出したオンデマンドの09年度売上高は、NHKの3億円を除き公表されていないが、関係者の話を総合すると、売上高が最も多いのはフジテレビで4億〜5億円と見られる。

 肖像権保護からネット掲載に慎重だったジャニーズ事務所は昨年12月、セキュリティー技術の向上などを理由に所属タレントが主演したフジのドラマ「コード・ブルー」のオンデマンド配信を認めた。大多局長は「時代の流れを感じたのでは」と語った。(編集委員・川本裕司)

PR情報
検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介