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〈メディア激変100〉電子書籍元年―5 電子雑誌で模索続く

2010年8月27日18時10分

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写真電通とともに電子雑誌配信サービスを始めたヤッパの伊藤正裕社長=東京都渋谷区

 電通とソフト開発会社ヤッパ(東京都渋谷区)は昨年9月、電子雑誌配信サービス「MAGASTORE(マガストア)」を始めた。携帯端末で雑誌のレイアウトのまま読めるサービスで、5月に発売された多機能端末iPad向けにもサービスを開始。現在約80誌を配信し、約8割がiPadで読まれている。

 ヤッパの伊藤正裕社長(26)は「電子雑誌で広告事業がどう変わるかを知りたい電通と、インターネットと雑誌の融合が面白いと感じた私たちの考えが一致した」と説明する。

 マガストアでは20〜40代向けの経済誌やライフスタイル誌の人気が高く、アクセス数は深夜1時ごろがピークという。就寝前に横になりながら、iPadやiPhoneで購入している人が多いようだ。

 「年末にかけてiPadに匹敵する端末が登場し、来年には価格も下がる。さらに普及すれば電子雑誌は本物のマーケットになる」と伊藤社長。「電子雑誌に映像などの生放送コンテンツを入れたり、月刊誌に週替わりのページがあったりとアイデアはたくさんある」と話す。

 「電子雑誌は世界のどの国でもビジネスとして成り立っていない。一方で雑誌の表現領域は大きく広がるだけに、様々な可能性を探っていきたい」。日本雑誌協会デジタルコンテンツ推進委員会の大久保徹也委員長(58)は言う。

 雑誌は制作にかかる費用に比べて安価な値段で販売されている。一方で、その差を埋める広告収入は下がってきている。電子雑誌はマルチメディアとしての可能性は広がるが、制作費も高くなる。ライターやカメラマンなど著作権者も1誌で100人以上いることが大半で、権利関係の整理も求められる。

 推進委員会は今年1〜2月、雑誌記事を有料で配信する実証実験をした。昨年10〜12月に発行された週刊誌や月刊誌計91誌の記事5083本を配信。モニター3164人に疑似通貨で購入して読んでもらった。

 その結果、雑誌記事を有料で読むことに半数の人が理解を示した。記事検索から普段は読まない雑誌を知り、購入するなど、紙の雑誌では見られない年代や性別の人と雑誌の組み合わせもみられたという。ただ、今回使ったのは数カ月前の記事。大久保委員長は「雑誌は同時性のメディア。紙の雑誌発行と同時に電子化できることが重要。年明けにも作業として可能なのか出版社に呼びかけて実験したい」。

 著作権については紙と同時に発行しやすい処理方法を関連団体と話し合っている。今秋にも雑誌協会の方針を決める。(坂田達郎)

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