現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. メディア激変
  5. 記事

〈メディア激変101〉電子書籍元年―6 書き手自ら電子出版

2010年9月3日17時11分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真電子書籍「AiR エア」の刊行イベントで執筆者が思いを語った=7月23日夜、東京都渋谷区

 「雑誌が果たしてきたコンテンツ紹介や(作家などの)新人発掘の機能はウェブ上に代替されていくのではないか」

 7月7日、講談社が全額出資する子会社「星海社」の設立会見があった。同社の杉原幹之助社長(39)は新たな挑戦を説明。発信の核となるウェブサイト「最前線」を9月にプレオープンさせることを明らかにした。

 ウェブ中心の出版の道を切り開く実験の舞台だ。小説や漫画などをすべて無料で読めるようにする。著者の強い申し入れがない限り、著作権も保護しないのでコピーもできる。ウェブで公開した作品はその後、書籍化や映像化する。2011年度には書籍30〜40点を刊行。当初は売り上げの9割以上が紙の出版物からで、3〜5年後には紙以外が半分ほどになると見込む。

 講談社の編集者出身の太田克史副社長(38)は電子書籍をめぐる動きを踏まえ、「2年前、今年のデジタル業界がこうなっていることは、業界の人でも想像できなかったと思う。一寸先は闇だからおもしろい」。

 著者自らが電子書籍を発行する動きも出てきた。

 「初版部数を決めなくていいんですよね。それはすごくよくないですか。出版社の人は売れるか売れないか初版で悩んでいる」。脚本家の北川悦吏子さん(48)がそう言えば、作家の瀬名秀明さん(42)は「いろんな人の作品を一冊の電子書籍として売るのがおもしろい」。

 7月23日夜、都内でiPad、iPhone向けの電子書籍「AiR エア」の刊行イベントがあり、執筆者が紙の本にはない魅力などについて意見を交わした。

 書き手が直接、電子書籍を発行するために合同会社「電気本」を設立。同社代表でノンフィクション作家の堀田純司さん(41)は「出版社が不要ということではなく、出版不況と言われ続ける中で従来のやり方を変えたかった。執筆者には出版社の人が紹介してくれた人がいるなど、応援してくれる編集者は多い」と話す。

 エアは作家ら12人の小説やエッセーが一冊の電子書籍になった。紙の本なら約400ページの分量で、価格は600円。米アップルや著者への支払い以外に、校閲をした人に支払う「校閲印税」も設けた。採算の見通しは立ったといい、堀田さんは「季刊ペースで出したい。人気作家の作品と一緒に新人らの作品を掲載すれば才能発掘にもつながる」と話す。(坂田達郎)

PR情報
検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介