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〈メディア激変102〉電子書籍元年―7 印刷会社がキープレーヤー

2010年9月3日17時12分

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写真電子出版ビジネスのために協力を誓い合う大日本印刷の高波光一副社長(右から2人目)と凸版印刷の大湊満常務(同3人目)ら=7月27日、東京都千代田区

 ライバル関係にある大日本印刷と凸版印刷の印刷大手2社が発起人となり、7月27日、「電子出版制作・流通協議会」が設立された。両社が手を組むことは珍しく、注目を集めた。設立時点で出版、書店、通信、広告会社、メーカー、新聞など電子出版にかかわる89の企業や団体が参加。会員数は現在約140に増えた。

 会長に選ばれた大日本印刷の高波光一副社長(69)は「電子書籍を普及させるには、データを作るための規格や仕様を標準化するべきだ。それらの約束事を決めるのが活動の中心」。副会長で凸版印刷の大湊満常務(61)は「日本の出版文化には出版社がいて、作家を育てるという任務を果たしている。我々が印刷を請け負い、取次を通って書店から読者へ、という役割を明確にして成り立っている」と説明した。

 電子出版ビジネスでは印刷会社がキープレーヤーと言われる。紙の本の印刷で以前から出版社とのつながりが強く、校正済みの出版社のデジタルデータを手元に置いていることも多い。制作工程では長年、デジタル技術を活用。大日本、凸版とも関連会社がケータイコミック配信に取り組むなどノウハウもある。

 中でも書店や出版社を傘下に収め、関係者から出版流通の再編の核になる存在と言われているのが大日本印刷だ。

 丸善(8月に店舗事業を丸善書店として分社化)、ジュンク堂、文教堂の各書店や図書館流通センター(TRC)を子会社化し、主婦の友社とは資本・業務提携。ブックオフにも出資し、筆頭株主になった。丸善とTRCは経営統合し、今年2月、共同持ち株会社「CHIグループ」を設立した。

 その狙いについて、大日本印刷の福田健一・市谷事業部副事業部長(58)は「出版文化を守るためには、出版流通までの全体を見渡さないと答えが出せないと考えた。電子書籍が広がる中、お客さんの声が出版社に届くよう出版流通の中で一定の役割を果たしたい」と話す。

 今秋には電子出版の著作権契約管理を支援するサービスを始める。短編1話分や連載1回分など細分化した販売形態の登場で出版社の負担が増えることを想定。出版社は契約内容や販売実績を入力すれば、印税が自動的に計算されるというサービスだ。また、得られた販売情報を分析し、データとして顧客企業に提供する。

 同社はCHIグループ、NTTドコモの両社とそれぞれ、約10万点のコンテンツをそろえた電子書店を今秋開設する予定。来年には約30万点に増やす計画で、5年後に電子書店事業で500億円の売り上げを見込む。(坂田達郎)

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