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〈メディア激変105〉電子書籍元年―10 出版取次も変化へ懸命

2010年9月3日17時16分

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写真トーハンが出版社向けに開いた電子書籍ビジネス説明会。近藤敏貴社長があいさつした(同社提供)=8月6日、東京都新宿区

 出版社と書店をつなぎ、出版物の流通で大きな位置を占める出版取次。電子書籍の配信では印刷会社の存在感が増す中、大手取次のトーハンは7月、電子書籍ビジネスをサポートするプラットホーム(基盤)を構築すると宣言した。

 同社の飯島信太郎・情報システム顧問は「まだデジタルコンテンツを持っていない中小出版社は多い。あらゆるコンテンツの電子化や配信など、電子書籍でも取次に支援を望む声は大きい。すべての出版社を支援するため、年内に一部サービスを始めたい」と話す。

 出版社向けの説明会も開いている。7月は専門出版社など112社、8月には大手出版社など139社が出席。インターネット経由でサービスを提供する「クラウド・コンピューティング」でコストを下げ、携帯電話や電子書籍端末などすべてに対応させる方針を説明した。

 トーハンは書店や宅配で本を受け取れる通販サイト「e―hon(イーホン)」、記事や論文単位で購入できる医療従事者向けの電子書籍販売サイト「Medical e―hon」などを運営している。そうした仕組みも活用して配信システムの整備を進める。書店を電子書籍の販売拠点にする構想もあるという。

 電子書籍が紙の本の売り上げを大幅に減らす――そうした不安もある中、大手取次の日本出版販売(日販)は出版社、取次、書店のいずれの売り上げにもつながらず、運送や廃棄などの余分な費用もかかる返品率を下げるため、契約の見直しに力を入れる。

 昨夏、書店に対し、売り上げと返品率の目標を定め、1年間の取引実績に応じてインセンティブ(報奨金)とペナルティー(違約金)を設ける「インペナ契約」を持ちかけた。今年度は取引書店の2割にあたる597店と契約。インセンティブは低いが、ペナルティーはない「インセンティブ契約」も255店と結んだ。

 インペナ契約を結んだ店の返品率は、今年4〜7月で前年同期比2.6%減の35.6%。書籍だけでは同3.3%減の38.7%。どちらの契約も結んでいない店はそれぞれ同1.2%減と同1.3%減で、下げ幅は小さく、新しい契約は効果を発揮している。

 講談社とは今年度、全書籍を対象に「パートナーズ契約」を結んだ。決めた返品率を上回れば日販が、下回れば講談社が、算出した金額をそれぞれに支払う。ほかに出版数社と契約している。日販マーケティング本部の縣(あがた)智弘・推進課長(38)は「返品は業界全体にとってマイナス。利益率の高い筋肉質の経営に変えていきたい」と話す。(坂田達郎)

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