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〈メディア激変120〉課金、海外の挑戦―2 NYタイムズも来年から

2010年10月1日17時32分

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写真3月にニューヨークで開かれたメディア関連の会合で話すアーサー・サルツバーガー氏=ロイター

 9月8日。ロンドンに、35カ国から新聞業界の200人が集まった。各国で新聞の発行部数が減少傾向を示す中、「ネット時代に新聞メディアがどう生き残るのか」に話題が集中したのは当然のことだった。

 「ネット上のつながりの追求は、我々のビジネスモデルの副業ではない。中核にならなければならない」。米国新聞業界の盟主ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)の会長で、発行人でもあるアーサー・サルツバーガー氏(59)は、基調講演でこう述べた。NYTのサイトは、米国だけで月間1700万人が訪れ、新聞社のサイトとしては、世界最多ともいわれる。それだけに、会長の言葉は会場内外の注目を集めた。

 NYTは今年1月、2011年初頭から、電子版に課金制度を導入すると打ち出した。一定の本数までは無料だが、上限を超えれば代金を支払い、あとは無制限に閲覧できる仕組みだ。

 米国で電子版有料化で先行するウォールストリート・ジャーナル紙が、検索サイトや「フェースブック」「ツイッター」など交流サイト上のリンクからアクセスしても無料の閲覧本数を制限しているのに対し、NYTの場合は、リンクからのアクセスは、上限の本数に関係なく無料で閲覧できるのが大きな違いだ。

 課金で読者を減らすことなく、無料読者の間口を広げる戦略をとる背景には、最初からNYTのサイトに訪れる人以上に、ブログやフェースブックの発達で「こんな記事を読んだよ」と紹介されるケースが増えている事情がある。サルツバーガー氏のロンドンでの発言は、交流サイトの爆発的な伸びを意識してのものだった。

 では、無料で閲覧できる一定の本数とは何本で、課金は月々いくらになるのか。この夏、紙面の定期購読者に送られた電子メールによるアンケートでは、「1カ月当たり記事20本までは無料で、それ以上は月10ドル課金したら、電子版を購入するか」とする仮定のモデルを問いかけたが、計画の詳細は明らかにされていない。

 NYTが電子版で課金するのは、今回が初めてではない。05年から、著名なコラムニストらによる記事を読めないようにする一方、閲覧には年間49ドル95セント、あるいは月7ドル95セントを求めた。ところが、約22万7千人の購読者を集めながら、07年9月に打ち切ってしまった。NYT側は、ネット広告が増加し、アクセスを広げた方が得策だと判断した、と説明している。

 サルツバーガー氏はロンドンでこうも言った。「いずれ、紙面の印刷はやめるだろう」。電子版への傾斜はもう後戻りできない、と宣言した瞬間だった。(ニューヨーク=田中光)

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