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〈メディア激変121〉課金、海外の挑戦―3 代行会社、仕組み売る

2010年10月1日17時32分

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写真ジャーナリズム・オンラインの共同創業者ゴードン・クロビッツさん=米ニューヨーク、藤写す

 「PRESS+」「P+」。これから、特に米国のニュースサイトを開くと、こんなアイコンを目にする機会が増えるかもしれない。

 このアイコンを見た読者は、いま開いているネット上のニュースをさらに読み進めて対価を支払うかどうか、決めなければならなくなる。

 開発したのはニューヨークのネット課金代行会社「ジャーナリズム・オンライン(JO)」。創業者は法律雑誌などを創設したスティーブン・ブリルさんや、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の元発行人でコラムニストのゴードン・クロビッツさん(52)らだ。

 きっかけは、ブリルさんが母校の米エール大で記者を育てるための講座を開いていた数年前。学生の母親から「将来の希望が持てない職業に誘い込んでいる」と不満をぶつけられた。

 既に米新聞社では人員減や給与削減が進み、経営破綻(はたん)に陥る例も増えていた。広告・販売収入が見込める紙の部数が減る一方で、サイトではニュースを無料で提供し放題。このまま産業が先細れば、優秀な若者が寄りつかず、良質なジャーナリズムが死に絶えてしまう――。

 ブリルさんは、WSJが1996年に始めたネット課金の戦略に携わったクロビッツさんらを誘った。WSJはネットの特定の記事全部や、一定の記事の後半を読みたい人に課金する方式で、100万人以上のネット購読者を集めてきた。かねて「他の新聞も試してみるべきだ」と考えてきたクロビッツさんは、ブリルさんに賛同。2009年4月、ともに起業した。

 今や新聞や雑誌、テレビ局、ネットメディアなど約1600社が「PRESS+」の導入を決め、地域は北米を中心にアジアや欧州、南米、オーストラリアにも広がる。「今年は数百、来年から数年で数千のメディアが世界でネット課金を始める」とクロビッツさんはみる。

 「PRESS+」を導入しても、すべてのネット記事が有料になるわけではない。ある程度の記事を無料にしているWSJのやり方のほか、特定分野の独自記事だけ有料にしたり、一定の本数を超えて読む分を支払ってもらったりと、十数種類の手法をJOは提案している。JOはこれまでの調査と経験則から、サイト訪問者の1割前後が熱心に有料記事も読むとみる。

 情報の素早いやり取りが仕事に響く金融・産業界が相手の経済紙誌ならともかく、「ネットで無料」に慣れた人々が一般記事も買おうと思うのか。「地域社会や地元の政治、スポーツ、訃報(ふほう)など、特定の記事は、ある人には価値が高い。それが妥当な金額なら払うはず」。クロビッツさんは確信している。(藤えりか)

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