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〈メディア激変126〉韓国から―4 テレビに生き残りかける新聞

2010年10月8日17時57分

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写真ニュースキャスターの朴済均さん(左)と丘佳仁さん=ソウルの東亜日報、隈元写す

 韓国の3大紙の一つ、東亜日報の編集局に真新しいテレビスタジオができていた。キャスターの朴済均(パク・チェギュン)さん(49)と丘佳仁(ク・ガイン)さん(29)が、夕方のニュースを始めるところだった。朴さんはもともと政治記者、丘さんは雑誌記者だ。

 「いきなりやれと言われて、メディア激変の被害者ですよ」。朴さんはそう嘆きつつ、やりがいを感じている風でもある。「奪われた放送局を取り戻すのが、悲願でしたから」

 東亜日報はかつて「東亜放送」というラジオ局を持っていた。だが、1980年、全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領が言論統制のためにマスコミの統廃合を打ち出し、閉局させられた。それが今の李明博(イ・ミョンバク)政権で、新聞社にもテレビの「総合編成チャンネル」を認めることになったのだ。

 地上波ではないが、普及率90%を超すCATVや衛星放送で流れるから、視聴者の数は地上波と変わらない。新聞の不振に悩む東亜日報はすぐに参入の意思を示し、昨年末からまずインターネットで放送に踏み切ったのだった。

 放送事業本部長の金次洙(キム・チャス)さん(48)が言う。「年内には、総合編成チャンネルをどこに与えるか決まると思う。最初に準備を始めた我が社が選ばれないはずがない。報道だけでなく、例えばドラマは輸出に重点を置くつもりです」

 しかし、競争は激しい。3大紙の朝鮮日報、中央日報のほか、韓国経済新聞と毎日経済新聞も手を挙げた。地上波のKBS、MBC、SBSが競う市場に何社も参入すれば、共倒れの恐れがある。1社か2社か、それとも……。

 選ぶのは、大統領直属の放送通信委員会。9月17日、少なくとも3千億ウォン(約220億円)の資本金を求めるなどの基本計画を決めたが、選定の行方はまだ見えていない。

 各社それぞれ意地がある。中央日報は、やはり全政権時代に「東洋放送」を奪われた。最近は傘下の制作会社「ドラマハウス」が人気ドラマを生むなど、映像分野の実績を積んできた。

 朝鮮日報は、部数トップで、ネットでも優位に立つ。一昨年、デジタルビデオカメラを記者全員に貸与して話題になった。「映像に積極的に出て行かないと生き残れない」と経営企画室の企画チーム長、高鍾元(コ・ジョンウォン)さん(45)は語る。

 「テレビ局を持ちたいのも、モバイルやネットとテレビがつながる時代の流れを読むと、今後は映像を作る力が一番大事だからです」

 韓国の動きは日本とも無縁ではない。今のKBS―NHK、MBC―フジ、SBS―日本テレビ、YTN―TBSという提携関係に入っていないテレビ朝日などとどこが組むか。攻防はすでに始まっている。(編集委員・隈元信一)

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