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〈メディア激変127〉韓国から―5 「ガリバー」の新戦略

2010年10月8日18時0分

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写真「1面トップだけとか、漫画だけとか、対象を絞った記事検索もできます」と説明する尹永燦さん=韓国・城南市のネイバー本社、隈元写す

 記事を安く買ってネット読者を集め、新聞を苦境に追い込んだポータルサイトが、新聞の助っ人に――韓国最大のポータル「ネイバー」は最近、そんな方向へかじを切っている。

 昨年、トップページに並ぶ新聞やテレビニュースの記事見出しをクリックすると、その社のサイトへ飛ぶようにした。あとは、読者は飛んだ先の客というわけだ。尹永燦(ユン・ヨンチャン)メディアサービス室長(46)は「大手でアクセスが40%増、小さいと10倍に増えた社もある」と言う。

 次に、過去の新聞紙面のアーカイブを作り、記事を無料で検索できるようにした。今は東亜日報、京郷新聞、毎日経済新聞の3紙だが、近くハンギョレ新聞も加わるという。時期も今は1960年以降だが、日本の植民地時代からの歴史を持つ東亜日報は、年内にも創刊号(1920年)からの全紙面に広げる計画だ。

 「新聞社は紙面をスキャンするだけで、あとは全部うちでやっている。お金も人手もかかるが、現代史を考え直すための貴重な資料だし、若い人の新聞離れを食い止めるためにも、価値のある仕事だと思っています」

 そう語る尹さんは、東亜日報出身だ。過去の記事までネイバーのものになったら、新聞はさらに苦境に陥るのでは? これは「5年後には返す契約」と聞いて納得できた。だがそれでは今度はネイバーが損をするのではないか。

 何か背景がありそうだ。

 11年前の創立時は小さかった会社が今やガリバーのようになり、検索占有率は64%。2位のダウムが23%、グーグルは5%にも満たない。ゲームなどを含む売り上げはネット業界で初めて1兆ウォンを突破。昨年は1兆2371億ウォン(約930億円)で、最大の放送局KBSを抜き去る勢いだ。その額の34%が純利益である。

 飛躍を支えたのは、独自の検索機能だった。例えば「統合検索」。探したい言葉を打つと、ニュース、辞書、ブログなどまとめて結果が出る。今では当たり前だが、ネイバーが始めた。そして「知識検索」。素朴な質問をすると、誰かが答える。ネットには各分野の専門家がいるから、回答の質の高さが評判を呼んだ。

 しかし、ここ数年は、ソフトの違法コピーなどが最も多いと名指しされたり、裁判になったり。大きくなった分、風当たりが強まった。記事で影響力を持ち、稼いでもいるんだから、新聞法で規制しろ。そんな議論まであった。

 関係者によれば、新聞のアーカイブは「こんなにたくさん利益があるのだから、社会に還元しないと」という役員の言葉から始まったという。(編集委員・隈元信一)

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