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〈メディア激変138〉韓国から―16 ニュースは市民の手で

2010年10月29日18時21分

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写真金明準さん=ソウル市内、隈元写す

写真鄭泰仁さん=ソウル市内、隈元写す

 9月21日、ソウルは豪雨に襲われた。市民が携帯電話などで撮った写真をツイッターで次々にネットに上げてくる。市内のどこでどんな被害が出ているか、実によくわかる。

 その市民の写真をテレビが流している。ネットでは「著作権はどうなるの?」といった議論が……。速報性も臨場感もテレビは市民にかなわない。そんな時代になったのだろう。

 2年前、米国産牛肉の輸入問題でソウルが「ろうそくデモ」に揺れたころを思い出す。現場の模様を細かく伝えたのは、パソコン片手に歩き回り、カメラで撮った動画をネットに流す人たち。「1人メディア」の登場だった。

 そのきっかけを作ったとされるのが、ネット局「カラーテレビ」だ。デモが始まった直後から放送を始め、3カ月にわたって生中継。昨年1月、ソウル市内の再開発地域で立ち退きを拒む住民を排除しようと警官隊が突入、死者が出た時も、生中継を続けていて特ダネになった。

 「局名は、はっきりとした色があるという意味。一方的に主張するのでなく、既存の言論機関が報じない現場を見せる。我々が現場で撮ってると、警察も暴力をふるいにくいしね」

 そう語る代表の鄭泰仁(チョン・テイン)さん(50)は経済評論家で、前の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の秘書官も務めた。「記者証が必要な大統領府などでなく、市民の取材をする。現政府と財閥、大手新聞の三角同盟に反対の声を上げ続けないといけません」

 スタッフは5人のボランティア。市民300人の寄付で月300万ウォン(約23万円)入るが、足りないという。いまの視聴者は1日約400人。ろうそくデモの時の30万人が夢のようだ。「何かことがあれば増えるし、1人メディアもまた盛り上がるでしょう」と鄭さん。

 さて、韓国では前回見た大邱映像メディアセンターのように、市民の発信を支える仕組みが育っている。その中心、ソウルの映像メディアセンターを担ってきた非営利団体「メディアクト」が最近、センターの運営からはずれた。政権交代に伴う路線の違いが背景らしい。

 メディアクト代表の金明準(キム・ミョンジュン)さん(47)は、別の場所に移って活動を続けている。「人件費も出せない厳しさ」だが、スタッフや受講生がついてきたことに力を得ているようだ。

 「ツイッターなどが出てきて、市民が発信する流れは太くなった。長く続いてきたメディア秩序が崩れる時だからこそ、市民の側に立つ運動が必要です」(編集委員・隈元信一)

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