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〈メディア激変140〉韓国から―18 アジア合作で強みを生かす

2010年10月29日18時23分

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写真韓国ドラマ「華麗なる遺産」などの脚本で知られる作家の蘇賢景さん(右)。その横は中国の王麗萍さん=ソウル市内のホテル、隈元写す

 ソウル市内のホテルに9月、韓国、日本、中国、台湾、タイ、シンガポールから約100人が集まった。「アジア放送作家カンファレンス」。韓国と日本が中心になって、06年から毎年開いてきた会議の5回目だった。

 韓国側の主導役は、申鉉沢(シン・ヒョンテク)さん(65)。主催する韓国文化産業交流財団の前理事長で、人気ドラマを次々に生み出す制作会社「サムファ」の会長でもある。こんなあいさつをした。

 「超高速インターネット、スマートフォンなどによって国境はなくなり、いつでもリアルタイムで他国のドラマを見られる時代になった。アジアから西洋とは違う名作を生めば、全世界の人々が感動し、世界市場で競争できる」

 日本放送作家協会会長の市川森一さん(69)は「目的は二つある」と語った。

 「国内向けにとどまっていたドラマをアジアに売り出すこと。そして、平和への寄与。国家は政治や経済で対立するかもしれないが、だからこそ、心と心のきずなが大事。そのためのドラマ作りでなければならない」

 会議では、2人が提唱して実現した「テレシネマ7」が注目された。北川悦吏子作「天国への郵便配達人」など、日本の脚本家がシナリオを書き、韓国の監督や俳優による7作品。すでに日韓で放映され、DVDにもなっている。

 「それぞれの特技を生かせば、世界にも通用する」「日韓以外にも広げよう」「タイでは、韓国、日本、台湾の文化を入れたハイブリッド(異種混交)ドラマが人気」「アジア中から参加して作るのも面白い」……。

 会議の外を含め、かわされる会話は具体的な共同制作をにらんだものだった。「日本は韓国だけでなく、中国などにも追い抜かれた気がする。彼らの国を挙げての文化戦略にどうかかわっていけるか、でしょうね」と市川さん。

 もう一つ、01年に日韓が始め、中国が加わった会議がある。「テレビ制作者フォーラム」。今年は10月なかば、中国の蘇州で10回目が開かれた。日本側は元NHKの河野尚行さん(71)ら。韓国側のリーダーでドキュメンタリストの鄭秀雄(チョン・スウン)さん(67)は、こんなことを言う。

 「どんなにメディアが激変しても、結局は、いかに良いコンテンツを作るか。中国などの元気さを見ると、国が何もしない日本は後れをとるかもしれない。大事なのは、まず韓国と日本がしっかり結束することです」

 似た言葉を韓国で多くの人から聞いた。互いの強みを生かして力を合わせる。それが活路につながるのは、あらゆるメディアで同じなのではないだろうか。(編集委員・隈元信一)

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