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〈メディア激変154〉米メディアの模索―14 新メディア支えるフリー記者

2010年11月19日17時39分

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写真カンダハルで7月、ロボットで爆発物を探す米軍を撮影するケビン・サイツさん=ベン・ブロディさん撮影

 国際報道に絞ったボストン発の新ネットメディア、グローバル・ポスト。その取材網を支えるのは、世界の50以上の国・地域で活動する、米国人や現地のフリー記者約60人だ。

 「ペンタゴンの契約がタリバーンに資金をもたらしている」。昨年10月、こんな記事が同社のサイトを飾った。米軍の燃料や水、冬用靴下などの調達を通して、アフガニスタンの地元の業者に落ちるカネの一部が、反政府武装勢力タリバーンの手に渡っている、とする特ダネだ。提携するCBSも飛びつき、ロイター通信やニュースサイトのハフィントン・ポスト(ニューヨーク)も配信した。

 書いたのはアフガンの「特派員」、ジーン・マッケンジーさん。ロシアのモスクワ・タイムズ紙などで記者をし、今はアフガンでフリーとして取材し、現地で記者の育成にも携わる。

 中朝国境のルポ、メキシコの麻薬組織の抗争に伴う殺害……。同社サイトには、各地の記事が動画や写真つきで次々と掲載されている。書いている「特派員」は、多くはかつて既存メディアで海外取材の経験を積んだ。フリーになった彼らを、同社はいわばネットワーク化した。今も多くの記者が、海外取材を発表する場を求めて連絡してきており、順次採用されている。

 平均600〜800語の原稿を1カ月に4本出せば、原則1千ドル(約8万円)。厚遇とは言えないが、「米国の既存メディアがフリー記者に支払う相場に匹敵する」と同社は説明する。また「出稿の状況によってはさらに上乗せし、特別企画の場合は何千ドルと出す」と最高経営責任者(CEO)のフィリップ・バルボーニさん(67)は言う。報酬の一環として自社株を割り当ててもいる。

 アフガンやイラクなどで経験豊富な米国の戦場フリー記者、ケビン・サイツさん(48)は今夏、治安の悪化が続くアフガン南部カンダハルから、戦闘の様子や負傷した市民らの記事と写真、動画を同社サイトに届けた。昨年9月から今年6月まで米ハーバード大のニーマン・フェロー(特別研究員)だった際、同社編集主幹、チャールズ・セノットさんと出会ったのがきっかけだ。セノットさんも数年前、同じフェローだった。「研究を終え、またアフガンに戻るためのいい機会になった。飛行機やその他の費用をまかなう助けにもなった」とサイツさん。

 サイツさんは以前、米テレビのNBCやCNN、ABCなどでプロデューサーや記者をしていた。その後、ネットを舞台にしたフリー記者に転じたのは、大きな放送網での報道に限界を感じたためだ。(藤えりか)

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グローバル・ポスト http://www.globalpost.com/

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