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〈メディア激変158〉米メディアの模索―18 書き手はフィリピン・インド人

2010年11月26日17時10分

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写真米パサデナで、パサデナ・ナウのジェームズ・マクファーソンさん=藤写す

 「市長選の予備選準備始まる」「無料でインフルエンザ予防接種」。そんな地域密着記事が並ぶ、ロサンゼルス近郊の高級住宅地パサデナ発のサイト「パサデナ・ナウ」。全米で増える地域ニュースサイトの一つだが、大きな違いがある。マニラなどのフィリピン人やムンバイ、バンガロールのインド人が書いているのだ。

 「オブザーバー」と呼ぶ大学生インターンらがパサデナ周辺でインタビューし、動画・写真をとる。録音・録画した素材をフィリピンとインドに送り、取材内容を書き起こさせ、それを元に現地の「ライター」が原稿に仕立てる。

 「限られた予算しかないネットメディアで、費用をかけずによい書き手を探す方法を考えた結果だ」。創業者で発行人兼エディターのジェームズ・マクファーソンさん(55)は言う。

 フィリピン人11人、インド人3人の時給はおおむね3〜5ドル(約250〜410円)。原稿ベースだと、1本(約4500語)6〜7ドルと、いずれも米国からみれば破格の安さだ。

 現地から直接、インタビューはしないが、パサデナ市議会などはネット中継をみて書く。市議会は未明まで続くことも多く、昼夜逆のアジアでカバーすれば、すぐに記事を発信できる。

 3年前、ネット案内広告のクレイグスリストのインド版で「米AP通信の書き方を理解し、硬派記事が書ける経験ある記者」を募ったのが最初だ。「ものすごい数」が応募し、過去に書いた記事やテスト原稿を見て、米国の大学でジャーナリズムを学んだ女性らと契約した。

 米メディアからは「現場を見ずに機微もわからないで、どうやって記事が書けるのか」と非難ごうごうだった。しかし、「そういう記者自身、私に会わず電話で取材している。それと何が違うのか」とマクファーソンさん。

 その後、米国人記者を4〜5人雇ったが、「予算を食って、続けられなかった」。原稿の水準も、インド人らが高いと感じた。ただ、インド英語は米語との違いが目立つため、2年前から、より近いフィリピンで多く雇っている。

 かつて十数年間経営したアパレル企業から想を得た。費用面から、衣料生産の初期工程8割をベトナムの企業に委託。カリフォルニア州オレンジ郡に構えた工場でベトナム系米国人を雇って商品に仕上げ、出荷していた。「世界には有能な人々がたくさんいて、彼らとどうやって仕事するかを学んだ」とマクファーソンさん。

 サイト訪問者は徐々に増え、月平均約8万。既存の地方紙が経営難にあえぐ中、「地域社会でジャーナリズムを改革する一歩になる」とマクファーソンさんは信じている。(藤えりか)

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