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〈メディア激変159〉米メディアの模索―19 リスクと速さ、閲覧1億8千万

2010年11月26日17時15分

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写真ゴーカーメディア最高執行責任者(COO)のゲイビー・ダービーシャさん=ニューヨークの本社、藤写す

 「これがアップルの次のiPhone(アイフォーン)」。4月下旬、複数の動画と写真つきで、端末を分解して詳説した記事がネットに載り、瞬く間に世界で話題になった。iPhone4の正式発表の1カ月半以上前のことだ。

 報じたのはギズモード。2002年設立の米ゴーカーメディア(ニューヨーク)の主力サイトだ。IT端末などの情報をいち早く辛口に報じるのが売りで、特に20〜30歳代に読まれ、ページ閲覧数は月間約1億8千万も記録した。

 厳しい情報管理で知られるアップルの看板製品とみられる端末の詳細に、他メディアも飛びついたが、より話題になったのは入手方法だ。

 ギズモードの説明では、アップルの技術者が3月、本社から約30キロ北のバーに置き忘れた試作品を、拾った人物から5千ドル(約42万円)で買った。ゴーカーの創業者で英フィナンシャル・タイムズ紙の元記者、ニック・デントンさんはツイッターに「私たちは誇りをもって、札束ジャーナリズムを実践している」と書いた。

 その後、警察は記事を書いたジェイソン・チェンさんの自宅を令状をとって捜索し、サーバーなどを押収。アップルは6月のiPhone4発表会にギズモードの記者を呼ばなかった。

 米AOL系のITニュースサイト、エンガジェットにも同一とみられる端末が持ち込まれたが、「これってiPhone4?」という写真つきの記事にとどめた。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、購入を持ちかけられたものの、弁護士と相談のうえ買わなかった。

 ゴーカーの最高執行責任者(COO)、ゲイビー・ダービーシャさんは「悪いことはしておらず、令状は無効。本物か確かめるためリスクをとって買った。多くの新聞は我々のようなことをしないが、ニュースだと思うから、私たちがリスクをとって書いた記事を転載した」。記事の閲覧数はこれまで1300万以上に上る。

 6月には新端末iPad(アイパッド)の利用者の個人情報流出もスクープ。「情報源は、他の新聞は書かないのではと思って我々に持ち込んだ、と言っていた」とダービーシャさん。

 ゴーカーは「リスクをとる」姿勢をスタッフ約150人に奨励。速さ優先で「(最初から)必ずしも完全に正確である必要はなく、間違っても原文を素早く正せる。紙ではできない」とダービーシャさん。その分、読者が書き込む情報提供や間違いの指摘を積極的に取り込む。

 06年7月にできた日本語版の閲覧数は、米国に次ぎ2位。「既存メディアと違う報道の仕方が支持の要因」と、運営するメディアジーンの今田素子社長(43)はみている。(藤えりか)

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