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〈メディア激変160〉米メディアの模索―20 減少する大統領密着取材

2010年11月26日17時20分

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写真ホワイトハウス記者協会会長のデビッド・ジャクソンさん=ホワイトハウス、藤写す

 この夏、ホワイトハウスの記者室を訪ねると空席が目立った。「そこはブッシュ前大統領が会見でよく当てた記者のいた地方紙、ここは別の地方紙の席だったが、どちらもワシントンに支局もない」。大統領報道の研究者として1995年から記者室地下に席を持つタウソン大のマーサ・クマー教授は周りを指して言った。

 米メディアは経営難に伴い、大統領や高官に密着するホワイトハウス担当記者をゼロにするか減らしている。残る記者も、担当範囲が増えて多忙になるにつれ、大統領の記者会見すら、テレビやネットの中継などに頼りがちだ。記者室に席を構えるホワイトハウス記者協会の会長で米紙USAトゥデーの担当記者、デビッド・ジャクソンさん(51)によると、以前は100人以上いた常駐記者は、今は40〜50人だ。

 経費削減は大統領同行取材にも影を落とす。

 大統領が国内外を訪ね回れば、かつては担当記者がほぼ同行。代表取材団として大統領専用機エアフォースワンに同乗する記者以外は、ホワイトハウスのチャーター便で動きを追った。

 だが、最近はチャーター便が出ないほど同行記者が少ない時もある。新聞記者だけでみても、80年代に30人以上いた同行は今、5人以下だという。理由はチャーター便の料金の高さだ。8月、オバマ大統領がニューオーリンズを訪ねた際は1人3千〜5千ドル(約25万〜約42万円)だった。高くて出張を認められなかった記者は、ホワイトハウスが配る演説・質疑応答の動画や書き起こし、通信社の記事を活用した。

 取材縮小と軌を一にするように、オバマ氏はメディア露出の手段を選んでいるかに見える。

 クマーさんの統計によると、大統領就任最初の1年、オバマ氏は記者会見を27回開いた。ブッシュ前大統領より8回多いが、クリントン元大統領より18回少ない。記者との短い質疑応答は46回で、ブッシュ氏の147回、クリントン氏の252回をはるかに下回る。その分、メディアとの個別インタビューは161回を数え、ブッシュ氏の50回、クリントン氏の53回の3倍強だ。うちテレビが91回に及び、ブッシュ氏の20回、クリントン氏の同16回と比べて際立つ。

 ツイッターやユーストリームを活用し、ホワイトハウスのサイトでは専属ビデオ撮影家によるオバマ氏らの動画を流す。法案署名の様子を専属写真家だけに撮らせて、報道陣に配ることもあった。この時は写真記者が抗議した。

 「ホワイトハウス報道が減る一方で、彼らは報道というフィルターを通さず、新メディアで直接、国民に発信しようとしている」とジャクソンさんは言う。(藤えりか)

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