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〈メディア激変184〉電子書籍元年、その後―3  出版社と作家が新戦略で協力

2011年1月7日17時53分

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写真新作を電子書籍で先行発売すると明らかにした作家の大沢在昌さん(中央)、角川GHDの角川歴彦会長(右から2人目)ら=昨年11月、東京・秋葉原、坂田写す

 東京・秋葉原で昨年11月にあった「電子書籍・コミックサミット」。講演やシンポジウムで様々な取り組みが紹介され、出版社と作家が協力した新戦略も披露された。

 「今年の電子書籍の話題はすべてビジネスになっていない。まだ話題の種に過ぎない」

 角川グループホールディングスの角川歴彦会長(67)は現状をそう分析し、角川グループとしての新たな配信の仕組み「BOOK☆WALKER」(ブックウォーカー)を翌月から始めると発表した。紙の本を買った人だけが購入できるデジタルアイテムを作ったり、アニメなどの作品を動画配信したりする。サービスを広げて今年夏にグランドオープンする。

 「新宿鮫(しんじゅくざめ)」シリーズで知られる作家の大沢在昌さん(54)が、新作の電子版をブックウォーカーで先行発売することも明らかにされた。大沢さんは取材に対し「紙の本が売れなくて苦労している」と話し、電子書籍市場については「数十万台のデバイス(機器)が出たからと言って、とてつもない産業になるかと言えばそうではない」と語った。「電子もどんどん面白がり、工夫したコンテンツを作ることでビジネスの可能性が広がる。前向きにやるしかない」

 イベントには作家の福井晴敏さん(42)も登場。新作の電子化に積極的な講談社から今春、経済小説を電子書籍で先行発売することを明らかにした。福井さんは「電子での連載になる。1章1節くらいでどんどん出し、トータルで本を1冊買ったくらいのお金になるような目安でやっていく」と価格についての考えも語った。

 小学館は昨年11月30日、販売サイト「小学館eBOOKs」を始めた。小説など約450タイトルの作品からスタートし、毎月十数点ずつ増やしている。

 重視するのがプロモーションだ。小学館出版局チーフプロデューサーの佐藤正治取締役(61)は「電子はリアルな書店のように、店頭に広く商品を並べるような見せ方ができない。サイトの中でテーマごとにキャンペーンを展開するなど、積極的に見てもらえる工夫をしたい。出版すれば終わりではなく、作品を息長く読んでもらう知恵が求められる」と話す。

 著者と編集者が時間をかけ、作品を磨き上げてきた紙の世界。電子化になればどう変わるのか。佐藤取締役は「書籍というパッケージの概念を破るような電子書籍、それを生み出す電子書籍作家が出てくるかもしれない。予想もつかない発想が生み出されるのではないか。編集者に要求される能力も変わってくる」と言う。(坂田達郎)

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