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〈メディア激変187〉電子書籍元年、その後―6 特徴生かした出版広がる

2011年1月14日16時59分

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写真デジタルメディアがテーマの集会で、北朝鮮にいる取材パートナーの写真を紹介し、電子書籍を刊行すると話す石丸次郎さん=昨年11月、大阪市北区、坂田写す

 デジタルの特徴を生かしたビジネス戦略や出版は、様々な分野に広がってきた。

 学研グループは昨秋、「学研電子ストア」を開設。自社のコンテンツを、自らの書店で一覧できるようにした。絵本や図鑑、外国語会話など約100点でスタートし、1年以内に千点以上を目指す。

 音声や動画を駆使できる電子化は、学習効果が高まる仕掛けを採り入れやすいという利点がある。自社のストアにコンテンツを集約し、スケール感を出すことで、学研ならではの特徴を広く発信できると考えたという。

 学研ホールディングスの八木雅代コンテンツディレクターは「例えば、図鑑の画面にタッチすると動物の鳴き声を聞くことができる。紙の学習参考書のように、覚えたい部分を赤いフィルターで隠せる機能もある。楽しく、効果的に学べる」と話す。

 「将棋のために電子書籍があるんだ、という思いを強くしていた」

 1937(昭和12)年に創刊された日本将棋連盟発行の月刊誌「将棋世界」は昨年12月、アイパッド向けの電子版を刊行。将棋連盟の米長邦雄会長(67)は記者会見でそう語った。

 最大のメリットは駒を動かせること。指し手を順番に記入した「棋譜」のデータが入っており、詰将棋やタイトル戦の盤面にタッチすれば、駒を動かして再現できる。

 電子版は毎日コミュニケーションズが制作・販売。1月号は昨年12月12日に発売された。購読に必要なアプリを230円(税込み)でダウンロードすれば、各号を600円(同)で購入できる。750円(同)の紙版は原則、毎月3日発売で、電子版は約10日遅れて発売される。

 報道の世界でも可能性が広がる。アジアプレスのジャーナリスト石丸次郎さん(48)は、北朝鮮で暮らす取材パートナーの朝鮮人の写真集を、日本語、英語、朝鮮語の電子書籍として出版する準備を進めている。

 石丸さんによると、現在は6人のパートナーが危険と隣り合わせの中で取材活動。日々の暮らしなどをデジタルカメラやビデオで撮影し、データを国外に届けている。日米で写真展が開かれるなど反響を呼んできた。

 石丸さんは「電子書籍は制作コストを抑え、各国の出版流通の違いにとらわれず世界へダイレクトに発信できる。肉声を動画で伝えることもでき、朝鮮人パートナーのためにあると感じている。世界中の多くの人に見てほしい」。2〜3月をめどに、アイパッド向け電子版として刊行する予定だ。(坂田達郎)

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