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〈メディア激変189〉電子書籍元年、その後―8 大手書店の店頭戦略

2011年1月14日16時59分

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写真約10分間で本を印刷・製本できる「エスプレッソ・ブック・マシーン」=東京都千代田区、三省堂書店神保町本店、坂田写す

 ソニーの電子書籍端末「リーダー」が発売された昨年12月10日、紀伊国屋書店の新宿本店など東京、大阪の3店舗にリーダーの体験コーナーが設けられた。同26日までの企画で、店頭販売もあった。電子書籍が出ていてリーダーでも読める紙の本のコーナーも店内に作られた。

 「電子書籍がどんなものか、実際に体験してもらうことは書店の役割。紙の本と連動した書店発の電子書籍ビジネスを展開したい」

 新宿本店を訪れた同書店の牛口順二・営業推進本部長は、リーダー発売に合わせた企画のねらいを説明した。

 発売と同じ日、パソコン向け電子書籍販売サイト「紀伊国屋書店BookWebPlus(ブックウェブプラス)」も話題作など約1100タイトルでオープン。1年以内に3万タイトルを目指している。アイパッドやグーグルの基本ソフト「アンドロイド」搭載端末にも対応していく。

 サイトから紙の本も注文できる仕組みだが、紀伊国屋書店は、書店店頭で紙と電子を連動させた試みに力を入れていく。

 その一つは、無線LAN経由で電子書籍をダウンロードできるサービスだ。

 「電子と比べたとき、紙の優位な点は書店でたくさんの本に出合いやすいこと。読みたい紙の本が、電子書籍でも読めるとわかれば買いたい人はいるはず」と牛口営業推進本部長。買いたい電子書籍を記録メディアのSDカードに入れ、店頭で販売することも計画している。

 書籍の電子化が生み出した新たな流通の形として、個別注文に応じて印刷、製本するオンデマンド印刷にも関心が高まっている。

 三省堂書店は昨年12月15日、神保町本店(東京都千代田区)に米オンデマンドブックス社の「エスプレッソ・ブック・マシーン」を導入した。注文受け付けから、印刷・製本されて本ができるまで約10分だ。本体価格と関連機器で計約1千万円。国内で初めて導入した。1部から印刷でき、30〜800ページの範囲で製本できる。

 300万点以上の学術書などの洋書と、講談社など日本の書籍約100点でスタート。通常の紙の本とあまり変わらない価格で、年末までの約2週間に約200冊が売れた。出版社向けの説明会を開くなどコンテンツの提供を呼びかけており、前向きな反応が多いという。

 三省堂書店の児玉好史企画室長(55)は「品切れのない本屋を実現したい。電子書籍端末を手にする人は限られる。流通経路は電子化し、その利点を受けながら、紙の本を販売するのが最もいいと判断した」と話す。(坂田達郎)

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