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〈メディア激変200〉法と安全―9 傍受された無線データ

2011年2月4日17時41分

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写真グーグル・ストリートビューの撮影用車両。無線LANの通信内容を傍受していた=グーグル提供

 無断収集したのは電子メール、パスワード、チャットからクレジットカード情報まで。被害は60万人――。韓国警察庁は1月14日、通信の情報保護に関する法律に違反した容疑で、米グーグルを書類送検する方針を明らかにした。

 問題となったのはグーグルの地図連動型パノラマ写真サービス「ストリートビュー」の撮影用車両だ。風景撮影と同時に沿道を飛び交う無線LANのデータも傍受し、そこに様々なプライバシー・個人情報があったという。

 グーグルは昨年5月、各国で無線LANから暗号化されていない通信内容を傍受していたと公表。プログラムのミスとしながら、傍受の中身は判別不能な断片だと釈明していた。

 だが、10月になってカナダの独立監視機関、プライバシー・コミッショナーが調査の結果、「電子メール全文、アドレス、ユーザー名、パスワード、氏名と住所、電話番号を含む個人情報が収集されていた」と発表。同国のプライバシー法違反と認定し、再発防止を勧告した。

 ストリートビューは07年に始まり、今では世界30カ国以上で展開。パノラマ画像に写り込んだ人や家屋などを巡り、プライバシーを巡る不安の声が上がる中での「事件」だった。

 昨年7月には、豪州のプライバシー・コミッショナーが、同国のプライバシー法に違反していると認定。9月にはイタリアのデータ保護局がデータ保護法違反などの疑いで刑事告発し、スペインのデータ保護局も10月にデータ保護法違反が認められたとして行政訴訟を提起。11月には英国の情報コミッショナー、12月にはニュージーランドのプライバシー・コミッショナーが、それぞれ国内法違反を認定した。

 また米国では、10月に連邦取引委員会(FTC)が調査終了と処分見送りを発表したが、連邦通信委員会(FCC)が改めて調査を開始。さらに40州が連携してグーグルと交渉中だ。

 日本も当事者だ。総務省消費者行政課は「事実関係を調査中」と言う。グーグル日本法人は「関係機関の調査に協力していく」とするが、日本での傍受の状況は明らかにしていない。電波法は無線通信の「秘密の保護」を定める。ただ、暗号化されていない無線LANの傍受のみでは、同法に触れない可能性も指摘されている。

 「そもそも、海外で調査を主導するプライバシー・コミッショナーが日本にはいない」。一橋大学名誉教授の堀部政男さん(74)は、問題の背景をそう指摘する。(編集委員・平 和博)

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