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〈メディア激変201〉法と安全―10 「仲間はずれ」の日本

2011年2月4日17時42分

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写真「沖縄個人情報保護特区」構想を提唱する堀部政男さん=東京都中央区

 「日本は十分なレベルの保護を提供している国であるとは、まだ考えられていない」

 09年4月、ベルギーで開かれたデータ保護に関する会議。講演に立った欧州委員会の法務担当者はそう明言した。その基になっているのは欧州連合(EU)が95年に制定した「データ保護指令」。十分な保護措置のない国へのプライバシー・個人情報の送信を禁じている。日本もその一つだと言うのだ。

 「プライバシー・個人情報保護では、日本は仲間はずれの状態。だがその認識もない」。経済協力開発機構(OECD)やプライバシー保護機関の国際会議などに長年携わってきた一橋大学名誉教授の堀部政男さん(74)は、日本の現状をそう指摘する。現在もEU加盟国からプライバシー・個人情報を日本に送信できない。

 一方、全般的なプライバシー保護法を持たない米国はEUと交渉の末、00年に特例的に個人のデータの送信を認められた。「顧客情報を受け取れないなど、ビジネス上の問題が出ることを理解した米国のプライバシー外交です」

 プライバシー・個人情報問題に機動的に対応できないのは、プライバシー・コミッショナーなどの独立監視機関がないことも大きな理由だと堀部さんは言う。このため、コミッショナーが一堂に会する国際会議には正式参加が認められず、「仲間はずれ」は現実問題となっている。

 ただ、先週1月28日に発表された政府の社会保障・税の共通番号制度の「基本方針」で、日本版の独立監視機関「第三者機関」についても、ようやく14年1月という設置時期が示された。

 だが「仲間はずれ」はそれだけではない。現在の個人情報保護法には、データを海外に送信する場合の取扱規定もない。「このままでは、国境を越えてデータが行き交うクラウド・コンピューティングの時代に、競争力の面でダメになってしまうのではないか」と堀部さん。

 EUがデータ保護措置が十分と認定する中には、タックスヘイブン(租税回避地)として知られ自治権を持つ人口10万人以下の英領マン島やガーンジー島もある。「保護措置をなるべく早く国際レベルに整備するには、国内に特区を置く形もあるのでは」と堀部さんが提唱するのが、「沖縄個人情報保護特区」構想だ。

 沖縄は、アジアに向けたネット基幹回線のハブ(中心)化の取り組みもあり、振興特措法ですでに法人税などが優遇されるIT特区があるなど、「十分な保護基準を満たしたクラウド拠点」となる可能性を指摘する。

 プライバシー保護の「仲間入り」へ向けて、模索が続いている。(編集委員・平 和博)

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