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〈メディア激変207〉模索する企業―6 動画配信で直接、消費者に

2011年2月11日18時16分

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写真ホンダの2011年のモータースポーツ活動の発表会では社員が様子を撮影、インターネットで中継した=4日午後、東京都港区南青山のホンダ本社

 小型デジタルビデオが、ホンダの伊東孝紳社長(57)やレーサーたちをとらえていた。東京・青山のホンダ本社で4日開かれたモータースポーツに関する記者会見では、ホンダが用意したカメラで撮影した動画がインターネットで生中継された。ホームページにアクセスすれば、誰でも記者会見の一部始終を見ることができた。ホンダでは初めての試みだった。

 広報部の石井浩樹主幹(48)は「モータースポーツファンにリアルタイムの動画でレーサーの表情も含めて伝える試みです」と説明する。

 従来の記者会見では新聞記者や放送記者、雑誌記者、フリー記者ら職業記者が参加し、記者会見の内容をメディアの判断で取捨選択して読者や視聴者に伝える。企業側が記者会見して伝えたかったポイントが記事では落とされることもあり、また、メディア独自の視点を加えることもある。発表内容に付加価値をのせてニュースを提供したい、と考えるジャーナリズムとしては当然のことだ。

 しかし、インターネットという道具を手にしたことで、企業側は、編集されないナマの情報を消費者に伝えたいと思い始めた。記者会見をせずにネットの動画サイトで退陣表明をした秋葉忠利広島市長(68)の思惑とも相通じる。

 「広報活動でのWeb利用が積極的」(経済広報センター)だと言われている日産自動車は、2010年1月から決算発表や一部の記者会見の動画配信を始めた。

 昨年末には三菱自動車と軽自動車の商品企画や開発を担う合弁会社の設立を発表したカルロス・ゴーン日産社長(56)と、益子修三菱自動車社長(61)の共同記者会見もネットで伝え、動画は日本語と英語の2カ国語で放送された。

 外国企業との連携などグローバルな動きが激しい自動車業界では、ネットによる記者会見で時空を超えようとする例もある。それは欧米企業がすでに歩み始めた道である。

 昨年5月21日朝(日本時間)、トヨタ自動車の豊田章男社長(54)と、米国の電気自動車ベンチャー企業、テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(39)は電気自動車開発での提携をカリフォルニア州パロアルトで発表した。この模様もネットを通じて動画で世界に配信された。豊田社長は前日夜まで日本で働き、ひそかに自家用機で渡米、突然の発表に臨んだ。日本にいた自動車業界の担当記者らはパソコンで動画を見て、確認するしかなかった。

 企業活動のグローバル化や、消費者に直接伝えたいという企業の思いが、動画配信の動きを加速している。(編集委員・安井孝之)

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