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〈メディア激変210〉模索する企業―9 広告と広報、薄れる垣根

2011年2月18日17時30分

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写真プラップジャパンの杉田敏社長は、NHKラジオで英語講師も務める=東京都渋谷区の本社

 メディアにお金を払って宣伝してもらう「広告」と、お金を払わず報道してもらう「広報」(PR=パブリック・リレーションズ)。企業の情報発信で「車の両輪」のような両者の関係にも、変化がみられる。

 フジテレビの営業担当、稲木甲二取締役(55)は「広告を出す企業の社内の仕組みが、大きく変わった」と話す。

 稲木さんが営業担当になったのは、バブル絶頂の1990年。「当時、企業では宣伝部が広告費を取り仕切っていた」。年間10億円の広告予算があれば、テレビに5億円、新聞に3億円などと振り分け、そこにメディアの営業担当が売り込みをかける、という具合だ。

 だが、バブル崩壊後、企業側に広告出稿の効率化が広がる。事業をおこなう部署が商品の投入状況にあわせて広告費を直接コントロールし、宣伝部の意思決定力は低下。その結果、番組のスポンサーとして一定期間広告を出し続ける「番組広告」は敬遠されるようになったという。大手テレビ局の営業担当者は「割高のテレビ広告でなく、番組内で取り上げられることを企業側がより求めるようになった」と話す。

 広報の立場からはどう見えるのか。

 「産業革命に匹敵するくらいの変化が起きている」。記者を経て、1973年に米系PR会社に移って以来、PR業界に身を置くプラップジャパンの杉田敏社長(66)はそう話す。

 企業とメディアをつなぐ役割として、以前は、広報を担うPR会社、広告を売る広告会社と、明確な役割分担があった。だが、「この3年で、垣根が急速になくなった」と感じる。

 直接の起爆剤が、2008年のリーマン・ショックだ。広告の効果を疑問視する見方が加速したこともあり、企業で広告に回すお金が減った、とみる。「企業経営者の念頭にあるのは、自社のイメージや売り上げを上げること。広告や広報の違いなんて関係ない」。昔は広告会社と仕事をすることはほとんどなかったが、最近は、広告会社から不祥事対応などの仕事を頼まれることが増えたという。

 ネットメディアが台頭するなか、PR会社や広告企業と既存メディアとの関係も変化している。米紙ニューヨーク・タイムズのITコラムニストのデビッド・ポーグ氏は、企業の広報担当者が記者にどう「ネタ」を売り込んだらいいかをウェブ上で指南している。杉田さんは「記者にも、いい情報源を持たないといい記事が書けず、生き残れないという危機感があるのだろう。記者と広報担当者のいい意味での協力関係は、広がると思う」と話す。(五十嵐大介)

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