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〈メディア激変234〉この先へ―3 誤報が駆け巡る

2011年3月25日18時20分

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写真拡大「ツイッターは正しい情報の増幅装置として機能する」と伊藤穣一さんは言う=東京都渋谷区

 「放射能で作業員が原発放棄」。16日の枝野幸男官房長官(46)の記者会見後、そんな誤報が一時、海外メディアを駆け巡った。東日本大震災で被害を受け、危険な状態が続く東京電力福島第一原発で、放射線量の上昇を受けて、「安全な地域に一時的に退避」と説明したことを誤解したものだった。

 地震発生後の動きを英文のツイッターで発信し続けてきた伊藤穣一さん(44)は、これに気づいた知人らの指摘をリツイート(転送)し、面識のあったカタールの衛星テレビ、アルジャジーラなどメディア関係者にも誤報であることを訴えた。次第に誤報は沈静化。経緯をまとめた伊藤さんのブログを、今度はアルジャジーラ英語版サイトが紹介した。

 「いったん誤報がマスメディアに広まると、修正は本当に難しい」と伊藤さんは感じた。

 伊藤さんは米ツイッター社のアドバイザーで、同社に出資するデジタルガレージ(東京)の共同創業者・取締役だ。黎明(れいめい)期からネットのベンチャー起業や投資を手がけてきた。08年末から住まいをアラブ首長国連邦のドバイに移して、国際的に活動する。

 米非営利団体クリエイティブ・コモンズ会長も務め、コンテンツ流通促進のための著作権ライセンス普及に取り組む。「でも、中東は文化もすごく違い、なかなか進まなかった」。一方、携帯やネットの伸びや民主主義への移行の兆しに可能性を感じ、移住を決めた。

 ソーシャルメディアが注目を浴びたのが中東の変革だ。伊藤さんは、特にエジプト革命の推移をツイッターやフェイスブックから追った。その特徴は「非暴力」と「冷静な声」だと言う。「革命の過程では、何かのきっかけで国民が勇気を持ち、それが力になる。ソーシャルメディアを使うことで、暴力を使わなくても勝てるという勇気の連鎖を生み出したんだと思います」

 そこで示されたソーシャルメディアの機能の一つが、情報の選別だった。「ツイッターは正しい情報の増幅装置として機能した」。偽情報には指摘の書き込みが現れ、信頼できる情報はリツイートが繰り返される。そんな情報の整理と共有が「ネット上での冷静な声につながった」と伊藤さん。福島第一原発を巡る誤報では、それを伊藤さん自身が体験した。

 「ネットでは、それぞれの声に世の中を変える力がある。そんな勇気が出てくるといい」(編集委員・平 和博)

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