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〈メディア激変235〉この先へ―4 「創発」から考える

2011年3月25日18時20分

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写真拡大伊藤穣一さんは、「ツイッター、フェイスブック、さらにかけ算でアルジャジーラの力が大きかった」と見る=東京都渋谷区

 「創発民主制」。ネットの起業家・投資家、そして社会活動にも取り組む伊藤穣一さん(44)は、03年にそんな題名の論文を発表している。テーマはネット時代の民主主義のあり方だ。

 「スピードや複雑さを増す政治的課題を、そのころ登場したブログなどのネットメディアを使って議論すれば、たくさんの人を巻き込んだ『会話』が起きるのでは、と考えたんです」

 題名にある「創発」とは、集合体が個体の総和を超える「賢さ」を発揮する、というほどの意味だ。当時、伊藤さんは、ネットを活用した「創発民主制」がネット先進国の米国の州政府などで実験されるのでは、と考えていた。

 「ところが、ネットでは遅れていると思われたエジプトで、ソーシャルメディアを使った革命が起きた。創発のいい例が、革命の中心、カイロ・タハリール広場。群衆の中には、自然発生的に屋台やテント村、給水所、幼稚園、診療所などが整然と配置されていた」

 動画や写真のような、これまでは小さなグループでしか共有されてこなかった個人的なメディアも、突然、ネットを通じて政治的な世界につながっていく。

 09年にはイラン大統領選を巡るデモの最中、「ネダ」という名の女性が発砲を受け、死亡する映像がユーチューブから世界に発信された。「最近のバーレーンのデモでは、民衆が花を持って警官を追いかける様子がユーチューブに投稿されていた。自分たちの振るまいが、ソーシャルメディアを通じて世界に見られるということを民衆の側も意識している」

 それがマスメディアを通じて増幅される。「湾岸戦争が、3大ネットの時代を24時間ニュースのCNNの時代に変えた。今回のエジプト革命によって、アルジャジーラのオンライン版の時代になったと思う」

 米国のケーブル局などではほとんど放送されないカタールの衛星テレビ局アルジャジーラは、ネット戦略に力を入れる。報道用動画も、同局のクレジットさえ付記すれば転載自由という、クリエイティブ・コモンズのライセンスで公開している。今回の一連の中東変革ではその報道が注目を浴び、サイトへのアクセスが2500%増加、その6割が米国からと言われる。

 「ツイッター、フェイスブック、さらにかけ算でアルジャジーラが力を発揮するという情報の生態系だった」と伊藤さんは言う。

 「情報発信の倫理やプロセスで、これからもプロのジャーナリズムは重要。ただそのビジネスモデルが、時代の変化にうまく対応できるかどうかが問題です」(編集委員・平 和博)

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