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〈メディア激変236〉この先へ―5 透明化の流れは止められない

2011年3月25日18時21分

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写真拡大「ソーシャルウェブは新しいネット環境を生み出しつつある」とジョン・キムさんは指摘する=東京都港区

 これまでは情報を受動的に消費していた人たちが、能動的な情報の発信・共有の主体になった。そんな個人同士がコミュニティーをつくり、新たなコラボレーションの動きを生み出す――。「その中で情報の透明化が進む。この透明化の流れは止められない」

 慶応大学准教授で、ハーバード大学法科大学院インターネット社会研究所(バークマンセンター)客員教授も務めるジョン・キムさん(37)は言う。情報通信政策などが専門で、告発サイト、ウィキリークスや、エジプトなど中東の変革を「情報の透明化」の観点から研究する。

 ウィキリークスは、膨大な内部告発資料とウェブの情報共有技術「ウィキ」や暗号技術の活用で政府に透明化を突きつけた。中東の変革のカギになったのは、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアだ。

 「ウェブが、グーグルなどの『データ』の世界から『ソーシャル』の世界になってきた」。リアルタイムの情報伝播(でんぱ)のスピード、利用者が世界で数億人単位というスケールの大きさ、スマートフォンなどのモバイル端末で使える身近さと手軽さ。「それらが融合して、情報の透明化の先に、新しいウェブの生態系を生み出している」とキムさん。

 これまでの社会が、様々な部品を画一的に組み立てる「プラモデル」型だとすると、新しい生態系は、組み合わせ次第で様々なものが可能になる「レゴブロック」型だと、キムさんは呼ぶ。ソーシャルメディアは、その「レゴブロック」のように人や情報を収集し、自由に組み合わせるのに役立つツールだと見る。

 「そこには二つの側面があります。一つは対立」。ウィキリークスと中東の変革のように、これまで独占されてきた情報が透明化することで、政府や企業の権威が疑われ、場合によっては崩壊してしまう。

 その一方で、国家や企業が「レゴブロック」型を生かして、競争力を増大させることもできるとキムさんは言う。「それを支える一番のキーワードが創造性。中国やインドの安値に対抗するには、付加価値の高いものに焦点を当てないといけない。その源泉が創造性です」。国民や社員の創造性を引き出し、新しいものを生み出していかないと、「国家も企業も、いずれは衰退してしまう」。

 そのためには、目指す人材、教育の中身も全く変わってくる。「教えすぎない、教え込まない。学生が新しい答えを探し出すことを支援する教育が、ますます重要になってくると思います」(編集委員・平 和博)

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