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〈メディア激変237〉この先へ―6 空気や水のようなデジタル

2011年3月25日18時22分

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写真拡大「デジタルコミュニケーションは『環境』になってきた」と話す杉山知之さん=東京都千代田区

 「携帯電話の利用者が1億人を超え、それがネットにつながり、データの処理能力も十分。デジタルコミュニケーションは、今や空気や水のように当たり前の『環境』になっている」

 デジタルハリウッド大学などが入る東京・秋葉原のビル2階喫茶店で、杉山知之学長(57)はそう話した。窓の外では、その言葉そのままに、携帯電話をのぞき込む人々が通りにあふれる。11日午後、東日本大震災発生直後のことだ。

 ツイッターやフェイスブック、電子メール、さらにはワンセグ。携帯電話を手にした人たちは、それらを通じて地震の状況、家族や友人の安否情報を確認していた。

 杉山さんがネットの未来を目の当たりにしたのは四半世紀前。87年9月、客員研究員として訪れたメディア研究の先端拠点、米マサチューセッツ工科大学のメディアラボだ。到着した当日、同室の大学院生から真っ先に教えられたのは電子メールのアカウント名とパスワード。ネットが生活の基盤となっていた。「21世紀はこれが一般の人の生活になるんだな」。その時、確信した。帰国後の94年、デジタルコンテンツのクリエーターを養成する専門スクール、デジタルハリウッドを設立した。

 今、機器の数、通信速度、記憶容量は飛躍的に高まり、「メディアラボで『できたらいいな』と思っていたことはほぼできるようになった」。しかも、誰でも手の届く安さで。

 「それで表現がみんなのものになった。プロしか作れなかったようなレベルのものも、アマチュアでも1年ぐらい勉強すれば作れる。プロには、さらに高度なことが求められている」

 コンテンツは、パッケージ化されたものから、クラウド・コンピューティングでネットワークを流れるものになった。スマートフォン、タブレットやパソコン、さらにネット対応テレビからデジタルサイネージ(電子看板)まで、「出口はものすごくたくさんある。その全部の画面に向けて、自由にデザインができるアーティストを育成する専攻も4月から始める」。

 そして、ネット上の市場に国境はない。「秋葉原のマンションの一室で作っていても、コンテンツをネットに置けば、いきなり世界の誰かに売れる状態です。クリエーターには、世界を相手にしているという意識を持って欲しい」

 杉山さんは、コンピューターとネットがあることを前提に、社会を作り直すことが必要だとも考えている。「教育や政治でどんな新しいことができるか、色んな可能性があるはず。今はそれができる環境が整ったんだと思います」(編集委員・平 和博)

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