岐阜県にある刀剣愛好家団体「刀剣友の会」会長の村上一郎容疑者(54)らがアーレフ(オウム真理教から改称)道場などを銃撃したとされる事件で、警視庁や大阪府警などの合同捜査本部が、友の会会員の勤務先からライフル用の銃弾20発を発見、押収していたことがわかった。「建国義勇軍」などが犯行を認めた一連の事件のうち、ライフル用銃弾が政治家に送付された事件が6件ある。このうちの数人について村上容疑者が批判していたことから、捜査本部が関連を調べる。
捜査本部は19日に銃刀法違反と建造物損壊容疑で関係先約60カ所を家宅捜索した。このうちライフル用銃弾が見つかったのは、岐阜市に住む男性会員が勤める会社だ。アタッシェケースの中にあった。メーカーや大きさを鑑定している。
この会員は捜査本部の事情聴取に対し、「村上会長からケースごと預かった。中身は知らなかった」と説明、ケースは施錠され、この会員が開けることはできなかったという。捜査本部は預かった経緯を調べているが、会員は事件には関与していないとみている。
銃をめぐっては友の会理事の速水春彦容疑者(46)=銃刀法違反などの容疑で逮捕=の岐阜県柳津町の自宅で、車の中からアタッシェケースに入っていた45口径の自動式拳銃1丁を発見、押収している。
これまでの調べでは、9月から10月にかけて野中広務・元自民党幹事長や鈴木宗男・前衆院議員、加藤紘一衆院議員ら5人の政治家の事務所や自宅に、ライフル用銃弾入りの封書が郵送された。差出人は「建国義勇軍国賊征伐隊」などで、銃弾はいずれも長さ55ミリ、直径7.6ミリだった。新たに見つかった銃弾は長さ約40ミリだった。
村上容疑者は友の会の会報「月刊刀剣・ナイフ情報」誌上で、野中、鈴木、加藤の3氏を批判している。02年4月号では手書きの署名入りで、北朝鮮に対する人道支援策などとからめて3氏を「国賊政治屋ども」と非難。野中氏については今年10月号でも「言行不一致の国賊政治屋とはこいつのことだ」などと言っている。捜査本部はこうした記述に注目、村上容疑者らが銃弾送付事件に関与した疑いがあるとみて調べている。
(12/20 14:35)
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