「建国義勇軍」などを名乗るグループによる一連の事件で、9日に起訴された刀剣愛好家団体「刀剣友の会」幹部らの役割分担と行動内容が、警視庁などの合同捜査本部の調べでわかった。大半の幹部は、会長の村上一郎容疑者(54)の名を挙げて「誘われて断り切れなかった」などと供述。捜査本部は、村上容疑者が刀剣売買を通じて知り合った会員らに「北朝鮮は許せない」などの持論を聞かせ、関心を示した者を事件に巻き込んだとみている。
■銃撃
アーレフ(オウム真理教から改称)東京道場銃撃事件では、刀剣友の会理事の美容院経営鹿野栄治容疑者(48)が数日前に現場を下見した。
当日は、青年隊長の古物商店員中村隆治容疑者(32)運転の乗用車に、村上容疑者と理事の古物商野々山文雄容疑者(52)が乗ってやって来た。午後10時40分ごろ、後部座席の村上容疑者が車に乗ったまま玄関ドアに1発発砲した。
約50分後に顧問の歯科医師田中成治容疑者(50)が「アーレフに1発撃ち込んだ。おまえら大嫌いや」と朝日新聞社などに電話した。
ほかの銃撃事件では現場から少し離れた場所に車をとめ、実行役と見張り役が歩いて標的に近づいていた。見張り役が、人通りが絶えたことを手ぶりや携帯電話で実行役に伝えていた。
■不審物
昨年夏から、爆発物を模した不審物を置く手口も加えた。村上容疑者は拳銃には強い興味を持っていたが、不審物設置の考えはなかった。持ちかけたのは「子供のころから爆弾に興味があった」という田中容疑者だ。田中均外務審議官宅(東京都目黒区)事件について「自分で作り、仕掛けた」と話している。
非公開の審議官宅住所を調べ、田中容疑者に伝えたのは拉致被害者支援団体「救う会」熊本の元理事木村岳雄容疑者(35)だ。参加していた救う会の集会で、だれかが示した住所をメモした。
■食事
広島県教職員組合銃撃事件で運転役を務めたとされる会長秘書のパソコン教室講師麻布孝弘容疑者(39)は「(村上容疑者から)食事に誘われたら現場に連れて行かれた」と供述しているという。
朝銀中部信組名古屋支店銃撃事件の見張り役とされる友の会顧問伊藤金四郎容疑者(52)らは、名古屋市内の和風レストランで食事してから現場に行ったという。
捜査幹部は「多くの容疑者は確固たる動機や信念もなく、成り行きで事件にかかわっていた」とみる。
(01/10 05:54)
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