三浦雄一郎さん三浦雄一郎さん

思い切って学校休もう

僕(ぼく)は今、79歳。君たちのおじいさんと同じくらいかもしれない。70歳と75歳の時に世界最高峰(さいこうほう)のエベレストに登った。2回目は抜けるような青空で、地球を見渡すような景観(けいかん)だった。

来年、80歳でまた登ろうと思っている。人生は長い。夢や生きがいは、年齢に関係なく持つことができるんだ。

僕は青森市で生まれたけれど、父が公務員(こうむいん)だったから転校ばかりしてた。小学校は5校、中学は4校も通った。方言のせいで仙台や東京の学校ではからかわれた。転校するたび、まず友だちを作るよう心がけた。

東京の中学では、まだよく知りもしない子を登山に誘い、6人ほどで神奈川・丹沢(たんざわ)の塔ノ岳(とうのだけ)に登った。頂上で富士山を見て万歳(ばんざい)した。そこまではよかったけど、帰りに道に迷(まよ)ってしまった。電車に乗り遅れ、駅で一晩過ごした。でも、おかげで連帯感(れんたいかん)が強まった。

友人関係がうまくいかず、いじめがひどいなら、学校を休んじゃおう。いじめる連中(れんちゅう)は弱みにとことんつけ込んでくる。1学期でも、1年でも休むといい。休めば先生も心配する。それでダメなら転校だってできる。

僕は通信制(つうしんせい)高校の校長もしている。いじめられた経験を持つ子もたくさんいる。1日しか中学に通わなかったという子も。でも、同じような体験をしていれば、お互いの痛みが分かり、仲良くなれる。中学はほとんど休んでいたのに、高校では無遅刻(ちこく)・無欠席を通した子もいた。

人生をトータルで考えれば、学校を休むくらい、大したことじゃない。君の居場所は必ずある。僕の学校に来てもいい。そしたら一緒に山に登ろう。(みうら・ゆういちろう=冒険家)