イラン南東部ケルマン州のバムで26日午前5時半(日本時間同11時)ごろ、強い地震があった。同州のカリミ知事は国営イラン通信に対し、5000〜6000人が死亡、約3万人が負傷したと語った。被災地では家屋の約6割が全半壊し、死者は1万人に達する恐れがあるとの推定もある。イラン政府は緊急声明を出し、救助に必要な機材や、生き埋めになった人を捜す救助犬の派遣などの国際支援を求めた。
バムはテヘランの南東約1000キロにある古都。始まりは紀元前といわれる。日干しれんがと土壁でできた古城があり、古代都市の跡は多くの観光客を集める。一般家屋もほとんどがれんが造りで、人口は約18万人。
カリミ知事は「バムの歴史的な建造物のある地区は完全に破壊された。多数の住民ががれきの下敷きになっている」と述べた。
また、同州選出の国会議員はAP通信に対し、「死者が1万人に達するかも知れない」と述べた。CNNはイラン当局者の話として、死者が2万人に上る可能性があると伝えた。
国営イラン通信によると、イラン政府は、バムの北約200キロの州都ケルマンに緊急対策本部を設置。けが人を近隣都市の病院に運ぶため、5機のヘリコプターとC130輸送機2機を派遣した。イランの赤新月社は、テヘランから救助チームと、生存者を見つけるための捜索犬を現地に送った。
テヘラン大学地震観測所によると、地震が起きたのは午前5時28分で、地震の規模はマグニチュード(M)6.3。仏ストラスブール地震観測所の観測ではM6.6、米国地質調査所国立地震情報センターによるとM6.7。大きな余震も数回続き、最大M5.3を記録した。
イラン内務省は国際支援を求める声明の中で、毛布や医薬品、食糧のほか、「冬がきているので簡易住宅が必要だ」と述べた。
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外務省によると、26日午後8時現在、この地震による日本人の死傷者は確認されていない。
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イランで発生した主な地震は次の通り。
78年9月16日 北東部でM7.7、死者約2万5000人
81年6月11日 中南部でM6.9、死者約8000人
90年6月21日 北西部でM7.7、死者約3万5000人
97年2月28日 北西部アルダビル州でM5.5、死者約800人
5月10日 東部でM7.1、死者約1500人
02年6月22日 北西部でM6、死者約230人
03年12月26日 南東部ケルマン州でM6.3、死者多数
(AP通信などによる)
(12/27 01:20)
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