ブッシュ米大統領は1日、「被災者への人道支援物資が届くよう、イランへの規制を緩和した」と述べた。滞在先のテキサス州で記者団の質問に答えた。12月31日のホワイトハウス声明によると、米国の個人や非政府組織(NGO)が現地で活動する団体に送金することを一時的に認めるほか、輸出規制品目に指定されている衛星電話などの持ち込みも認める手続きを同日付でとった。
2日付の米紙ワシントン・ポストは、米政府が米国赤十字社の社長経験があるエリザベス・ドール上院議員(共和)を代表とする高官レベルの人道使節団を近くイランに派遣すると報じた。使節団には、ブッシュ家のメンバーも含まれるという。
米国は80年、テヘランの米大使館人質事件を機にイランとの国交を断絶。96年にはイラン・リビア制裁強化法が成立し、ブッシュ政権も01年に5年間延長を決めた。00年3月に、クリントン政権がじゅうたんや食品類の輸入を解禁したが、ブッシュ政権になってからは初めて。物資運搬に関する機材や衛星電話、無線、パソコンなどは「輸出規制品目」になっているが、これによって、国務省や米国際開発局、米NGOなどが現地に持ち込むことが可能となる。
ブッシュ大統領は、今回の措置について、「米国民が心配している、ということをイラン国民に示すものだ」と述べる一方、イラン政府に対しては、民主化の促進▽イラン国内で拘束されている国際テロ組織アルカイダ・メンバーの本国送還▽核兵器開発計画の廃棄――を改めて求める考えを示した。
(01/03 00:11)
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