国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は24日、イランが未申告で高性能の遠心分離器を保有し、製造にかかわった企業のほとんどが軍需企業だったとするイランの核計画に関する報告書を理事国(35カ国)に配布した。
朝日新聞が入手した報告書によると、事務局長は核兵器の起爆用に使われるポロニウム生産の事実に加え、核計画へのイランの軍需企業の関与を初めて指摘。「核兵器計画につながる証拠はない」とした前回の報告書から、核兵器開発疑惑に一歩踏み込んだ内容となった。
ウラン濃縮施設から検出された高濃縮ウランの由来についても、イラン側から合理的な説明がない現状では「さらに秘密裏の活動がないとは確認できない」と結論づけた。
報告書は、新たに発見された高性能の遠心分離器について、94年に外国から設計図を入手、国内で生産が行われていたことを指摘。「基本的な核技術や大半の部品はリビアで発見されたものと同じ外国が起源」として、パキスタンを中心とする「核の闇市場」の広がりを指摘した。未申告だったことについても「深刻な懸念」を表明した。
イランは、ウラン濃縮の停止を表明したにもかかわらず、関連した活動を続けていると指摘されてきた。これについて報告書は、イランが3月第1週までに、遠心分離器の組み立てと試験、国内での製造を中止する方針を伝えてきたことを明らかにした。
3月8日からのIAEA理事会では、新たに判明した未申告の核活動に対し、米国をはじめ理事国から厳しい意見が表明されるものと見られる。
(02/25 13:53)
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