米国のイラク攻撃が日本や世界の経済に与える影響について、日米の民間調査機関が複数のシナリオを前提にした試算をまとめた。攻撃が1カ月ほどで終われば影響は限定的だが、3カ月を超えると日本の実質経済成長率は1〜3%幅押し下げられると見る。
電力中央研究所の予測では、戦乱が長期化して湾岸地域の油田などに被害が出た場合、原油価格は1バレル=45ドル程度に上昇した後、30ドル超の水準にとどまる。1ドル=107円程度まで円高が進み、日本の成長率を1%幅押し下げるという。
米戦略国際問題研究所(CSIS)は、中東域内の産油施設に大被害が出れば原油価格は一時的に1バレル=80ドルに達する、と予想する。中国や東アジア諸国も中東への原油依存度が高いため、日本からの輸出にも悪影響が出そうだ。
戦争が長期化すると、戦費の増大が米国の財政赤字を拡大させ、長期金利を上昇させる。UFJ総合研究所は、米長期金利が1%幅上がった場合、個人消費や住宅投資が落ち込み、米国の実質成長率は0.4%幅下がると見ている。
一方、攻撃が1カ月ほどで終わり、産油施設に大きな被害が出なければ影響は軽微との見方が大半だ。CSISは、先行き不安が取り除かれることで、米国や日本の成長率はむしろ高まると予測している。
日本政府は03年度の実質成長率を0.6%と見込んでいるが、イラク情勢次第ではマイナス成長に陥る可能性もある。
(03/18 20:01)
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