小泉首相は19日午前の参院本会議で、これまでの国会答弁などで、イラクへの武力行使について新たな国連安保理決議があることが望ましいと表明していながら、決議がないままの米国のイラク攻撃への支持表明をしたことについて「国際社会の一致結束をはかるうえで望ましいと考え、その採択を求めてきたが、法的には過去の類似決議に基づき武力行使は可能だ。国連憲章にも合致するものと考える」と述べ、国際法上の問題はなく、国連憲章にも反しないとの考えを示した。
国内外で武力行使反対の声が多いことについて、首相は「ブッシュ大統領の決断は平和的解決に向けた様々な努力を行った上でのやむを得ない決断であり、わが国としてこれを支持する。問題の根本は、イラクが大量破壊兵器を廃棄するための即時、積極的かつ無条件の協力を示さなかったことだ」と反論。「今後、いろいろな機会を通じて国民の理解と協力を求めていきたい」と述べた。谷林正昭(民主)、大沢辰美(共産)の各氏の質問に答えた。
一方、川口外相も19日午前の衆院外務委員会で、「米国の武力行使は自衛のための先制行動ではなく、安保理決議1441などに基づくもので、国連憲章第7章にのっとっている」と述べた。首藤信彦氏(民主)が「7章では先制攻撃は認められない」とただしたのに答えた。
第7章は安保理が必要と認めたときと、自衛権を行使するときのみ武力行使を認めている。外相答弁は、米国の武力行使は第7章のうちの自衛権の発動ではなく、安保理決議に基づく行動との見方を示したものだ。
国連のアナン事務総長が「安保理の支持なしに武力が行使されれば、その正当性に疑問が出る」と指摘している点について、外相は「米国は関連の安保理決議に基づいて行うと考えているので、アナン氏の発言と米国の行動に何ら矛盾することはない」と述べた。松本善明氏(共産)の質問に答えた。
(03/19 13:05)
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