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ブッシュ米大統領は19日午後10時15分(日本時間20日午後0時15分)、ホワイトハウスからテレビ演説し、「イラク国民を解放し、世界を大きな危険から守る」と述べ、米英軍主導でイラク攻撃を開始したと宣言した。周辺各国に展開する米軍のF117ステルス戦闘機や巡航ミサイルなどでイラク指導部の拠点を限定的に攻撃した模様だ。91年の湾岸戦争時と異なり、米英両政府は今回はフセイン政権の打倒が軍事行動の目的であることを明示している。
フライシャー米大統領報道官によると、攻撃はイラク現地時間20日午前5時45分(日本時間同午前11時45分)に開始した。ロイター通信によると、20日未明、バグダッド市内に空襲警報が鳴り響き、夜明け前の薄明かりを帯びた空に、次々と対空砲火が上がった。
米国内の報道によると、米英軍は同日、イラク国内の2カ所を攻撃している。米NBCテレビは、米国防総省当局者の話として、40発の巡航ミサイルが紅海とペルシャ湾の艦船から発射され、B1、B2、B52爆撃機やF117ステルス戦闘機が精密誘導爆弾や特殊貫通爆弾バンカーバスターを投下したと伝えた。
同当局者は「この攻撃は、イラク指導部に打撃を与えて敵の能力をそぐためのもの」と述べ、フセイン政権中枢を標的にした限定的な攻撃だと説明した。攻撃は断続的に行われ、AFP通信は、バグダッドで現地時間20日午前6時半ごろ、第3波の空爆があったと伝えた。
クウェートとイラクの国境沿いの非武装地帯(DMZ)に展開している10万人規模の地上軍も近くイラク南部への侵攻を始めると見られる。フライシャー報道官も「今の段階では攻撃は限定的なものだ」と述べた。
今回の攻撃は、大量破壊兵器を持つとみる敵に対し、自衛を理由に先制攻撃を正当化する昨年9月の「国家安全保障戦略」(ブッシュ・ドクトリン)に基づく初の攻撃となる。国連安保理を軸に多国間で紛争の解決を目指す第2次大戦後の国際規範を書き換えようとする動きで、安保理の支持を得ない武力行使には国際法上、正当性に疑念が指摘されている。
米国防総省によると、イラク周辺に展開しているのは米軍約24万人を中心とする米英軍主体の約30万人。攻撃支持を明確に表明した国は19日現在、日本、スペイン、豪州など30カ国で、内々に米政府に支持を伝えた国と合わせて計45カ国に上るとしている。湾岸戦争で28カ国の多国籍軍に参加したフランス、カナダ、イタリアなど西側同盟国とサウジアラビア、エジプト、シリアなどアラブ諸国は今回、参加していない。米軍などによるイラクへの大規模な武力行使は98年12月以来、約4年3カ月ぶり。
陸軍第101空挺(くうてい)師団や海兵隊の主力部隊など、クウェートに待機していた米地上軍は、戦車やヘリコプターで南部の都市バスラなどの拠点を確保しながら北上、首都バグダッドの陥落を目指す。地上軍のイラク投入は湾岸戦争以来初めてで、短期間の決着を目指している。
フセイン政権による油田の自爆的な破壊や生物・化学兵器の使用を防ぐため、米特殊部隊は事前にイラク北部のクルド自治区などに展開しており、関連施設の制圧や反体制派の組織化を進めているとみられる。
ブッシュ大統領は17日の演説で、イラク軍にフセイン大統領からの命令の不服従や投降を呼びかけており、「湾岸戦争時に比べ、戦力で半減した」(国防総省)とみられるイラク軍がどこまで本格的に抵抗するかが当面の焦点となる。
(03/20 12:36)
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