ブッシュ米大統領は19日、イラク戦争の開戦1周年を迎えてホワイトハウスで演説し、「テロの脅威と戦い、うち破ることはすべての国の利益であり、すべての政府の義務だ」と述べ、世界各国が対テロ戦争に加わるように呼びかけた。特にイラクで昨年11月に殺された奥克彦・在英大使館参事官の名前を挙げ、「自由なイラクの建設」のために尽くしたことを最大限に称賛している。
演説は84カ国の大使を招き、約25分間行った。「我々の国民を守る確かな方法は、一致団結した果断な行動だけだ」と各国の団結を何度も強調しており、スペインなどのイラク撤兵の動きが広がることを牽制(けんせい)する狙いがあったようだ。
大統領は冒頭、スペインの列車同時爆破テロの犠牲者を悼み、「マドリードの虐殺が文明世界が戦争状態にあることを思い出させてくれた」と指摘。「文明とテロとの戦いに中立の立場はない。なぜなら善と悪、自由と隷属、生と死の間に中立はないからだ」と語り、対テロ戦争は「我々の世代にとっては逃れられない召命だ」と強調した。 イラク戦争については「国連の要求を実現し、独裁者の不法な武器開発に終止符を打ち、イラクの人々が支援を受け、イラクを見つめる中東全域の男性と女性が自由な国の生活に目覚めつつあるのはいいことだ」と正当化。日本については韓国とともに「歴史的な軍隊派遣を果たし、イラクに平和をもたらすことを手伝った」と称賛した。
アフガニスタン戦争についても「我々の連合はタリバーン政権の脅威を取り除いた」と成果を誇示。日本についてはサウジアラビアとともに「商業を促し、国を統一するカブールとカンダハル間の道路の仕上げを手伝った」と評価した。
さらに、イラクとアフガニスタンで多くの同盟国が犠牲者を出したことを指摘し、日本をはじめ21カ国の名前を列挙。特に奥参事官について「我々の大義を信じた1人の日本人外交官がいた」と語り、「この立派で上品な日本人は(日記の中で)『これは自由を守る戦いでもある』と締めくくっている」と紹介。「日本から来たこの立派な日本人は正しかった。自由なイラクの建設は我々の戦いだ」と演説を結び、最大限にほめたたえた。
(03/20 01:29)
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