国連は２２日、イラク統治評議会が先に署名した同国の基本法について、イスラム教シーア派の最高権威シスターニ師から、近く現地入りするブラヒミ国連事務総長特別顧問あてに、基本法を了承しないよう求める書簡が届いたことを明らかにした。国連が明確な立場を取らない場合、ブラヒミ氏が率いる復興・再建の支援チームとの会談に応じない考えを示している。

　シスターニ師はイラク国民の６割を占めるシーア派に強い影響力を持つ。米国が主導した基本法制定への強い反発が背景にあり、６月末が期限の主権移譲などに影響を及ぼす可能性がある。

　書簡は１７日付。基本法を「イラク人の利益にかなう将来の決定を、おびただしい制限によって束縛する」と非難し、「拒絶か修正を求める多くの署名が集まっている」と主張している。

　さらに国連安全保障理事会が、復興・再建をめぐる新たな決議に基本法を反映させることへの深い懸念を表明。「そうした方法による復興・再建は国民の支持を得られないばかりか、深刻な結果をもたらす」と強調している。

　イラク基本法は恒久憲法制定までの暫定憲法に相当するもので、今月８日に、各勢力や民族からなる統治評議会の全２５議員が署名した。

(03/24 02:25)