イラク復興に関する国連の活動を統括するロス・マウンテン国連イラク支援団(UNAMI)臨時代表は26日、ヨルダンのアンマンで朝日新聞記者と会見し、治安面の懸念から昨年秋に撤退させた国連の国際要員について、選挙実施支援活動などに向けて段階的に復帰させる方針を表明した。バグダッドのほか、南部バスラ、北部クルド人地区のアルビルの計3カ所に新たな活動拠点となる警護付き施設を設置する。
昨年8月に現地本部の爆破テロ事件で事実上機能停止した国連が、厳しい治安状況下でも活動できる環境を整える方針に転換したことを示す。ただ、本格復帰した場合でも、「撤退前の800人レベルに戻れるとは思えない」と述べ、イラク人要員の登用などで代替する方針を示した。復帰時期はアナン事務総長が最終判断するとしている。
スペインなどが部隊駐留の条件として求める治安面での「中心的役割」については多国籍軍の展開をめぐる新たな安保理決議の議論の行方次第としながらも「国連は治安面の責任は、占領当局にあるという前提で活動している」と述べ、実現性に難色を示した。
暫定政府づくりなどをめぐって、近くイラク入りするブラヒミ事務総長特別顧問については「固定した見解やひな型を持っていくわけではない」と述べ、イラク側の要望を見極めて最善の方法を探る姿勢を強調。イスラム教シーア派の最高権威シスターニ師が、イラクの基本法を了承しないよう国連側に求めている問題では「ブラヒミ氏がシスターニ師と直接協議するだろう」と述べ、直接会談で打開策を見いだす考えを示した。
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〈ロス・マウンテン氏〉 国連イラク支援団(UNAMI)臨時代表。昨年8月の爆弾テロで死亡したデメロ事務総長特別代表の後任の特別代表代理として昨年12月に指名された。73年に国連に入り、人道・開発分野を中心にイラク、レバノン支援を担当、国連ジュネーブ本部の人道問題調整担当を歴任した。ニュージーランド出身。59歳。
(03/27 17:29)
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