米誌ニューズウィーク(電子版)による最新の世論調査によると、ブッシュ米大統領のテロ対策への支持率は、同時多発テロを防げなかった理由を調べている独立調査委員会の公聴会後、10ポイント以上も急落した。ホワイトハウスは、批判の急先鋒(きゅうせんぽう)であるクラーク前大統領特別顧問に対する攻撃を強めているが、同氏は逆に全関係記録の公開を求めるなど、両者の対立はさらに激化している。委員会での証言を依然、拒否しているライス大統領補佐官への風当たりも強まる一方だ。
同誌が27日付でホームページに掲載した世論調査によると、ブッシュ大統領のテロ対策と米本土防衛対策への支持率は、2カ月前の70%から独立調査委の公聴会後、57%へと落ち込んだ。また、イラク戦争への対応についても、44%が支持する一方で、「支持しない」と答えた人は、昨年末の39%から50%へと上昇し、支持と不支持が逆転した。
また、28日の日曜日にはクラーク氏や独立委の委員、ブッシュ政権の閣僚らが相次いで、米テレビ各局の政治討論番組に出演。NBCの番組に出演したクラーク氏は「彼(クリントン前大統領)は一定の仕事をしたが、ブッシュ大統領は同時多発テロ前、何もしなかった」とブッシュ大統領を痛烈に批判。在職当時と最近の発言に食い違いがあるとの指摘に対しては「私が01年1月20日から9月11日までライス大統領補佐官らに送った電子メールやメモのすべてについて、秘密指定を解除すべきだ」と、逆襲に出た。
こうした批判に対し、パウエル国務長官も28日のCBSテレビの番組に出演し、クラーク氏がブッシュ政権にとってテロ対策は「緊急の課題ではなかった」と証言したことに反論した。「(ブッシュ政権発足直前の)00年12月20日、国務長官就任に備えるため最初にテロ対策のブリーフ(状況説明)をしてくれたのが、クラーク氏だった」と指摘。政権発足当初から、テロ対策に努めてきたとの立場を強調した。
一方、公聴会への証言を拒んでいるライス大統領補佐官への批判は、日を追うごとに高まっている。ここへ来て野党民主党だけでなく与党共和党の委員の間からも、「彼女は何も隠し事をしていないのに、全米の正直な市民たちにホワイトハウスは何かを隠しているという印象を与えている」(リーマン委員)、「彼女が独立委の公聴会で証言すべきだと、すべての委員が感じている」(キーン委員)など、不満の声が上がり始めた。
(03/29 12:06)
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