イラクの暫定占領当局(CPA)から28日、保健省に行政権限が移譲され、他の民生部門3省でも近く、同様の手続きが進められる見通しだ。ただし、CPAが送り込んでいる「上級顧問」は残留し、米国の影響力は維持されることになる。
ブレマー代表はバグダッドでの式典で、アッバス暫定保健相に「あなたは今、主権への道を走る運転席に座っている」と語りかけた。
さらに、暫定内閣発足から7カ月の間に、CPA管轄下で保健省が旧政権時の60倍にあたる金額を医療分野に支出したことを強調。医療機関の再建や幼児や妊婦への予防接種など具体的成果を重ねたと評価した。
昨年9月に発足した暫定政権25省のうち、権限が移譲されるのは保健省が初めて。さらに、公共事業、教育、水資源の各省についても、4月1日をめどに同じ措置がとられる予定だ。
CPAが6月末までの主権移譲を前に、行政の権限移譲を一部前倒しで行ったのは、米国主導の「上からの統治」への反発を強めるイラク国民の批判を和らげるねらいがあるとみられる。
しかし、バグダッドにある保健省付属の中央公共衛生研究所のアリ・フセイン副所長は「CPAの顧問がいる限り、(CPAから)独立した政策運営ができるとは思えない」と語った。
CPAが権限移譲を決めたのは民生分野にかかわる省に限られ、治安や司法など国政の中枢を担う省には及んでいない。今月新設された国防省は「米国の国家安全保障担当の大統領補佐官のような」(CPA高官)軍事顧問を任期5年で置くなど、主権がイラク側に戻る6月末以降も、米国が影響力を行使できる仕組みを導入しようとしている。
(03/29 20:31)
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