冷戦時代、共産圏に属していた中東欧7カ国の北大西洋条約機構(NATO)への加盟式典が29日、ホワイトハウスで開かれた。新規加盟各国の首相らを前にブッシュ米大統領は「今日、我々の同盟は新たな敵に直面している」と述べ、対テロ同盟としてのNATOの重要性を強調した。
新たに加盟したのは、旧ソ連から91年に独立したエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国とブルガリア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアの計7カ国。加盟国は26カ国に増えた。
式典でブッシュ大統領は、01年9月の米同時多発テロ事件直後にNATOが「加盟国への攻撃は加盟国全体への攻撃と見なす」憲章5条を初めて発動したことを挙げ「21世紀の新たな脅威」に適合する同盟としての役割を強調。新規加盟国がいずれもイラクやアフガニスタンでの作戦に「有志連合」として協力していることを指摘し「条約によって同盟になる以前に、行動で同盟であることを示した」と述べ、謝意を示した。
今回の東方拡大で、地理的には「対テロ戦争」で重要となる中東、中央アジアのほか、バルカン半島やコーカサス地方により近づくことになる。
新規加盟国の大半は欧州連合(EU)への加盟を希望または予定しており、軍事的な同盟関係をてこに欧州との経済統合も進めたい考えだ。一方、ロシアは「欧州の安全保障を向上させるためには、NATOの性質を根本的に変えることが必要」(外務省報道官)との声明を出し、国境を接するバルト沿岸諸国を含む中東欧諸国の加盟に強く反発している。
(03/30 17:34)
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