新加盟した中東欧7カ国を加え、加盟26カ国が一堂に会する初の北大西洋条約機構(NATO)外相理事会が2日、ブリュッセルで開かれた。冷戦時代、旧ソ連と対抗したNATOは「26カ国体制」の実現によって、世界最強の軍事同盟の座を強化した。パウエル米国務長官は、6月末に主権が移譲されるイラクで、NATOがより大きな役割を果たすよう改めて求めた。
新加盟したのはラトビア、エストニア、リトアニア、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、スロベニア。ルーマニアとブルガリアを除く5カ国は5月1日に欧州連合(EU)にも加盟する。
デホープスヘッフェル事務総長は外相理に先立つ歓迎式典で「(旧共産圏の)国家と人々が自由な選択の機会を与えられ、一つに集まった」と述べ、欧州が冷戦による分断を最終的に克服したことを宣言した。
外相理は、対テロ戦の強化をめざす「テロ宣言」を採択し、テロ情報の交換や大量破壊兵器への備えの強化を求めた。また、中東・北アフリカ諸国との「地中海対話」の強化をうたった。
イラク支援について、パウエル長官は記者会見で「主権移譲されたイラク政府とNATOとの対話が行われるだろう」と語り、6月末に開かれるNATO首脳会議では、支援の時期や内容について決めることは難しいとの見通しを示した。
またデホープスヘッフェル事務総長は会見で「イラク政権からの要請とともに国連安保理の決議が必要だ」との立場を改めて強調した。フィッシャー独外相は「バルカン地域安定のための仕事が残っているうえ、アフガニスタンの治安回復や反テロの戦いもある。兵力の使い過ぎは問題だ」と述べ、イラクへの関与強化によってNATOに過大な負担がかかることへの懸念を表明した。
アフガニスタン問題について、事務総長は「NATOの最重要課題だ」として、9月に予定される総選挙を前に、現地に展開する6500人の国際治安支援部隊(ISAF)の地方への展開を急ぐ方針を明らかにした。
(04/02 21:20)
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